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鳥を見て、“めでたく”行きましょう2016年 !

新年明けまして、おめでとうございます。語源・町のお医者さん・水守勤三です。今年も、語源ファンが一人でも多くなることを祈りながら、このコーナーを続けていこうと思います。よろしくお願い致します。

新しい年のスタートに因み、今日は、お正月関係の単語からお話を始めてみます。

お正月を象徴するものと考えた時、『門松』が浮かびました。日本特有の伝統でしょうから、まず、そのまま『kadomatsu』で行けると考えながら、手元の研究社・和英大辞典を引いてみました。

門松:kadomatsu; a pair of auspicious pine and bamboo decorations placed in front of a house during New Year period.

やはり『kadomatsu』としながらも英語で説明を加えています。私たちは門松をイメージすることができますので、知らない単語があったり、過去分詞の形容詞用法(例:a camera made in Japan)を知らなかったりしても上の文の意味はほぼつかめるものでしょう。その中にあって、『auspicious』は『語尾から形容詞とは分かるが、“どんな”松や竹なんだ!』となるかも知れません。

では新年のトップバッターにこの“auspicious”を取り上げてみましょう。

『知らない単語が出てきたら、まず切れ目がないかと考えてみる』は語源の目を鍛える方法として有効ですので、まずやってみましょう。目立っている部分は、語尾”-ous”ですね。delicious, ambitious, preciousなどにも登場する代表的形容詞語尾です。残る”auspici-”に切れ目があるのかないのかが分かるようになるのは、もう少し語源を好きになってからにして良いと思います。こんなときは辞書に助けてもらいましょう。

私が使っています研究社新英和大辞典では、“auspicious:縁起のよい・めでたい“という意味を紹介した後、語源については〖(1602):⇒-ous〗と味も素っ気もありません。こんな時は、既に辞書が説明をし終わっているのでそこを見なさい、という指示されていることになります。そうするとauspiciousの3つに名詞形のauspiceがあることが見えてきて、”bird”や”watch”という単語が含まれていることが紹介されています。それが分かると”auspice”の”spice”の部分がrespectやsuspiciousに登場してくる活用度のとても高い語幹”spect”であり、結果としてその前にいる”au-“の部分が『鳥』を意味しているというふうに広がっていきます。

仕上げにあたる部分の“語源と意味のつながり”、すなわち、“鳥を見ることがなぜ縁起が良い”となるのか、ということになります。これにも辞書は答えてくれています。”auspice”の語源欄に、”cf. augur”とありますので、”augur”を引いてみると、『卜占官(ぼくせんかん)(古代ローマで鳥の挙動・鳴き声、獣の臓腑、天体の現象などによって公事の吉凶を判断した僧官』と『鳥』が関係していることを説明してくれています。

地震などの天変地異の前に、動物が異常な泣き方をしたり動き方をしたりすることがニュースなどで報じられています。そんな現象に気付いた人が、不思議な力を持つ人として崇められたのかもしれないですね。

因みに、”au-:鳥“は語彙を増やすことに貢献はしないのですが、航空会社の名前などに付く、“〇〇 Aviation”の“avi-“という接頭辞になって生き残っています。実は、”U“と”V”が無差別に使われていた時代があったようです。

The expert at anything was once a beginner.  どんな熟練者もかつては初心者。

これは語源にだけでなく、どうもアルファベット26文字の歴史にもあるようです。

いかがでしたか、お正月におみくじを引いて今年の運を占ったシーンをそのまま『鳥』に置き換えてみると、“auspicious:縁起のよい・めでたい“という記憶にストーリーが生まれるのではないでしょうか。

次回は、”auspicious”の真ん中“spic-=見る”からお話を進めてみましょう。

今年もよろしくお願い致します。

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