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“the very man”ってどんな人?

こんにちは、自称、語源・町のお医者さん・水守です。

前回、『次回は、”dictionary”の旅をご一緒に』などと言っておきながらですが、次の文を訳してみてください。
He is the very man I’ve been looking for.

“very”は、“I’m very happy to see you.”のように、“とても”という副詞の意味でおなじみですが、形容詞として使われた場合、“正にその…”と訳します。このコーナーを訪れてくださる方でしたらきっとご存知のことと思います。では、そこで問題です。なぜveryという単語に“とても”と“正にその…”という意味があるのかと疑問を持たれたことはおありでしょうか。多くの方が、『意味は意味だから仕方がない』と、単純に覚えてしまおうとされたのではないでしょうか。

ここで、お話をdictionaryに移してみます。まずはdictionaryという単語に切れ目を2本入れてみてください。そうですね、dict/ion/aryとなります。この単語は、“ぜいたく”な単語で、語幹dictに、-ionと-aryという接尾辞2つが付いて出来ています。後ろの接尾辞-aryを取るとdictionとなり、実はちゃんと単語として存在しています。dictionaryよりも短いのに、dictionという単語の意味を知る人は極端に少なくなります。辞書を見ると『用語選択・言葉づかい・言い回し』等の意味が出てきます。そのdictionに-aryという接尾辞を付けたものがdictionaryになったことになります。なんとなく『言葉づかいや言い回しを本にしたもの』みたいな感じになり、『辞書』という言葉になることに納得されるのではないでしょうか。そこで、今度は、dictionに付け足すのではなく、dictionから接尾辞-ionを取り除いてみましょう。意味で考えると『“言葉づかい”や“言い回し”という名詞から名詞的な部分を取り除く』ということになります。どんな言葉が浮かんでこられますか。私はこんなことを考えるのが大好きで、ワクワクします。私の場合は次のような式になります。
〔“言葉づかい”-名詞的要素=『言う・話す』という動詞〕

“言い方・話し方”の正式版が“言葉づかい”ではないでしょうか。その上で、辞書でdictionの語源の欄を確認すると、dictという部分の基に“speak, tell, say, show”などの意味があることが紹介されていることを知ります。

そうなると、あとは語幹dictの前(=接頭辞)と後ろ(=接尾辞)に色々なものを付けてみるという収穫の時期を迎えます。predict, contradict, addict, indict(発音注意),verdict, dictation, dictatorなどが登場してきますし、predict ⇒predictionのように-ionを付けると名詞にもなりますし、predictable, unpredictableなどと展開もしていけるでしょう。是非、意味と語源を辞書で確認してみてください。楽しくて止められなくなること請け合いです。

敢えてひとつだけ、verdictを取り上げてみましょう。“評決・答申・判断”などの訳が出てきます。語源の欄には、“ver=true, truly”という文字が出てきます。『評決や答申は“本当のこと”を言わないといけない”』とverdictという言葉自体に明記してあることになります。

“cloud”に接尾辞“-y”を付けると“cloudy”、語幹“ver”にも接尾辞“-y”を付けて“very”。だから
“very happy”=“とても幸せ”=“本当に幸せ”
“the very man”=“正にその人”=“本当の人”=“本当にその人”

如何ですか。こうすると、副詞『とても…』と形容詞『正にその…』のふたつが同じものに見えてこられるのではないでしょうか。dictionaryからverdictに行き、結果としてveryの2つの意味が見えてくる。これが語源の面白さだと私は感じます。次回は、ちょっと一息という感じで、私風・電子辞書活用法をお話しさせて頂きます。お楽しみに。

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