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Enjoyボキャビル:語源の手掛かりがあるのはどれくらい?

語源・町のお医者さん・水守勤三です。まず、ご案内があります。ブログ継続のご希望を複数の方々から頂き、100回達成後も続けることにしました。11月からも第4木曜日に更新をしますので、引き続きお付き合いください。尚、新シリーズでは、まるで過去にブログを書いていなかったかのように、一から始めようと思います。お知り合いの方などで、語源に興味をお持ちの方がおられましたら、良い機会になるかと思います。お声をお掛け頂きご一緒にお読み頂ければ幸いです。

なぜ「語源・町のお医者さん」?

47歳で語源に巡り合ってから関連する本を少なからず読みましたが、自分の求める本が意外と少ないものだと感じました。正しい情報だろうけれど専門的過ぎたり、易しく感じられるのだけれど自分が知りたいところになると説明がぼやけたり、とうまくかみ合いませんでした。

自分の知識は常に高めながらも、人にお話をする時には、相手が受け取れる言葉でお話をする、そんな気持ちを「語源・町のお医者さん」に込めてきました。まずはあと3回も、大局的ながらシンプルに、でいっていみます。語源を俯瞰するシリーズの第3回として次のテーマを取り上げてみます。

何割くらいの単語が語源で覚えられるか

私の勉強のツールは、語源関連の本もありますが、主力は辞書の語源欄です。意味・用法を知っている単語でも語源が気になると辞書を引きます。その際に「語源不詳・unknown」と出てくると、学問的にも語源が辿れないことを意味します。そんなに頻繁に目にするものではありません。語源の本にもよりますが、単語の8割以上は語源を辿ることができる、というのが通説(極端なものには9割以上とするものもあります)だと思います。ただ「語源を辿ることができる」と「語源で覚えることができる」が別物であることを知っておくことが必要です。

接頭辞・接尾辞の知識で語彙拡張

conflict=衝突・対立」を覚えていれば、接頭辞を少し換えて「inflict=苦痛や打撃を与える」や「afflict=苦しめる」を仲間にしてみる。また、形容詞「definite=明確な」を知っている人なら、動詞「define=定義する」を別単語とせず品詞の変化とみる癖をつけてみる。中学でならうbeautiful の延長線上として「beautification=美化」をとらえてみる。これだけで「語源で覚えられる単語の割合」はぐっと上がります。単語学習のどこかのタイミングで、まずは有名な接頭辞・接尾辞に始まり、普段意識していないようなものにも広げてみることはとても有効です。

語幹を変化させて語彙拡張

opponent=反対者」は知名度の高い単語。基の「oppose=反対する」も結構知られている単語。propose oppose と同じ pose を持っている。oppose opponent になるのだから、propose proponent になるという発想を持つと「poponent=提案者・支持者」になっても全く問題なし。同じ語幹の単語を同じパターンで変化させてみれば「語源で覚えられる単語の割合」はぐっと上がります。どの語とどの語が関連しているのかを自分で気付くことは意外と難しいものです。意味を調べた時に、語源の欄を見る癖をつけてみましょう。

語源納得の即意味定着で語彙拡張

語源をするようになってから、少しオーバーに表現すると「一回で印象に残る単語」があることを知りました。例を挙げてみます。

tenacious, detour, reimburse, cumulonimbus, preposterous

tenacious 語源を調べると contain, susutain などに出てくる tain = hold と同じグループとのこと。そういうと maintain の名詞形に maintenance があり tenacious との関連性が見えてきて、「持ちこたえる・粘り強い」が知識の中で安定。

以下、ture detourpurse reimburseaccumulate cumulonimbusprepare, postpone preposterous など記憶のメインテナンスをしなくても残り続けます。最後の単語 preposterous は、“pre-=前”・”post-=と、ひとつの単語の中に「前・後」を含むという“実にばかげた”単語です。是非、辞書でその意味を味わってみてください。

語源明確だが広がりは欠ける語で語彙拡張

respect, expect, inspect, suspect, retrospect …のようにひとつの語幹で広がるものもあれば、語源は明確なのに広がりのない単語もあります。

procrastinate=先延ばしにする」は典型です。接頭辞 pro-は「前へ」なので「先延ばしにする」という意味の接頭辞としてピッタリです。また、語幹 crastinate 部分は「tomorrow=明日」を意味すると辞書で紹介されています。接頭辞 pro- の知識は使いまわしが効きますが、語幹 crastinate は私の知る限り、他の語で活きたことがありません。このように語源を知っても「語幹をひとつ覚えるか」・「新しい単語の意味をひとつ覚えるか」の選択のようになる語もあります。私の中では、大いに語源がヒントになっている単語ですが、このような語も「語源で覚えられる単語の割合」を挙げてくれるものとカウントするかどうかは、人次第だと考えます。

語源のヒントがない単語の覚え方

最後に、語源のヒントが見当たらない単語をどうやって記憶に留めるかについて、私の考えを書きます。「繰り返す回数」だと考えます。何度も繰り返していると、頭は「どうも覚えたがっているんだな」と分かってくれるような気がします。過去に受けた資格試験の英文を何度も読んでみたり、取り組んでいる単語帳、お気に入りの歌詞や文などを読んでみたり、発音してみたり、書いてみたりして、とにかく何度も登場させることだと経験的に思います。

もちろん、語源のヒントがある語についても、是非是非、それが活躍している場面で味わってみてあげてください。

語源を学んで英会話力向上

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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