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Enjoyボキャビル:記録的な「気温」

語源・町のお医者さん・水守勤三です。「第4木曜」の更新が、私の勘違いで「最終週」になってしまいました。楽しみにしてくださっている方もおられるかと思います。申し訳ございませんでした。

さて、5月の最終週のここ数日「5月としては記録的な気温」というニュースを耳にします。そこで今回は語幹編第5弾として「気温=temperature」に登場する語幹 temper を取り上げます。

temper ⇒ temperature

好きな映画「英国王のスピーチ」の中に、次のような会話があります。

LIONEL: Oh, you have a bit of a temper.

BERTIE: One of my m…many faults.

「短気(=temper)なんですね」と指摘されたバーティーが「私の数ある欠点のひとつ」とユーモアを交えて答えています。

「気温=temperature」に至る語源の出発点がこの「短気・気性=temper」にあります。

古代ギリシアの医者であヒポクラテス(460頃〜前375)は、人間の性格は、血液、粘液、黄色胆汁、黒色胆汁の体液の「配分・調整」によって決まると考えました。この「配分する・調整する」を意味する語幹が temper です。

配合が上手くいくと temperate

「配分がうまくいった」が、形容詞 「temperate=温和な・ほどよい・控えめな」を作り、名詞は、「temperature=気温・体温(昔は適温を意味したのでしょう)」と「temperament=気質」に分かれました。文化の発達に伴い、「temperance=節制・禁酒」も生まれてきたのでしょう。

反意語を作る接頭辞 in- を伴い、intemperate, intemperance へ。また、dis- を付けて distemper となると「ジステンパー」という病名にもなります。

文書を「配合」するのが tamper

「文書などに不正な変更を加える」という意味を表す tamper は、temper の母音 –e- –a- に変化して生まれた語です。難単語扱いされることが多いですが「temperと似ている」を感じることができれば記憶に留めることは容易ではないでしょうか。

「気温・気質 ⇒ ヒポクラテス ⇒ 4つの体液 ⇒ 調整次第」と連想してみてください。

語源の魅力とは

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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