KEC外語学院ブログBlog

JyoVo:語源の効果性と味わい

英会話学習を週間かさせるには

こんにちは、語源・街のお医者さん、水守勤三です。戦禍の中から日本語で状況を伝えてこられる現地の人たちを目にして、唯々、心が動きます。言葉には、心理理的な距離だけでなく、物理的な距離までも一気に縮めてしまう力あることを実感するばかりです。このブログが言葉の壁を乗り越えるための一助になっていれば幸いです。

目を向けて、状況見てから、アドバイス

語源を記憶に留めるため、語源を俳句にからめる“語源かるた”の第三弾には、接頭辞 ad- advice の基になっている語幹 vis をご紹介したいと思います。

「目を向けて」には、方向性を示す前置詞 to, towards を意味する接頭辞 ad- を、“見る(to see)”を意味する語幹 vis を「状況見てから」に託しました。

方向性を示す接頭辞 ad-

語源をやっていて良かったと思えることのひとつに接頭辞の ad- があります。re-, com- のように姿をほとんど変えない接頭辞に対して、ad- affect, assign のように変化するため、知られることの少ない接頭辞です。このブログでも複数回取り上げていますので、ぜひ、読み返してみてください。

vision でよく知る語幹 vis = to see

今日のメインデッシュ、語幹 vis に進みましょう。俳句で使った名詞形の advice は、動詞の advise の変化形と考えて「語幹 vis」に絞ってみてください。

「語幹 vis」と考えてしまうと、語源否定派の人たちの「それを覚えるくらいなら“advise=助言する”で覚えた方がシンプル!」というロジックにはまってしまいます。そこでロジックを次のように変化させてみてはどうでしょう。

vision の vis は「見る」

-ion が名詞語尾だということは多くの人が知っています。vision から、その -ion を取り除けば、語幹 vis の意味が見えてくる、という考え方です。

語幹を、“新しい知識”・“覚えなければいけない知識”とするのではなく、自分が十分に知っている単語がどんな語幹でできているのかさえチェックすれば残る知識とすることが、“お得感”を生み出してくれるように思います。

では少し変化させてみましょう。同じ vision という綴りを持つ語に、provision(=用意・支給)があります。では、その動詞形は何でしょう。そうです、provide(=供給する)です。ということは、語幹 vis には、vid という変化形もあることになります。

ちょっとした工夫で語源を楽しく

語源の本を見ると、先に語幹の変化形をいくつも紹介するものがあります。これは多くの人にとって苦痛となり、結果として語源をやめてしまうことに繋がっていきます。少し手順を変えてみて、良く知っている単語で語幹を確認してから変化形にも関心を広げる、これがコツのひとつだと思います。

電子辞書で“~vision”と検索すると、television, envision, revision, supervison などと共に、division(=分割)が登場してきます。動詞形も divide vid が見えてきます。「分割と見るの関係は?」となってしまいますが、これは別語源のものがたまたま同じ形になっただけで、語源をやっているとでくわすケースです。ただ安心してください。どうしてもマイナスの印象として残りますが、そんなには多くないものです。漢字を使用する日本語と異なり26文字で構成されるアルファベットの組み合わせでできている英語の限界と言える現象です。大きな心で進みましょう。

語源に見える「昔の人の知恵」

語源は、語彙力アップの強力なツールだと確信します。また、一語一語彙的暗記では味わえない知的興味を喚起してくれるものだとも思います。その上で、それらを越えた魅力が語源にはあるように思います。それが「単語が生き残ってきて根拠」だと思います。

昔の人が、他人に助言をする時に大切にしたもの、それが「現場を見に行く」ことだったことが、advise という単語にこめられています。子育てでも、部下育成でも、友人との関係でも、相手を見ずに行う助言が通じることはないでしょう。advise という一語の中に、それが表現されているので、生き残ってきたのだと感じます。私の語源への興味が一向に衰えない理由の一番大きなものがこの感動ではないかと思います。

次は、“語源かるた”冊子でお会いしましょう

「初めて英単語が興味深いものだと感じました」・「過去のブログも全部読みました」・「生徒にはこんなふうに教えないといけないなと思いました」などなど、色々なご意見・ご感想を頂きました。

7年前の2015121日にスタートしたこのブログを今回で終了させて頂きます。当初の「100回は続けたいなぁ」という個人的な目標を突破し、ここまで来ることができたのは、読者の皆様にご支持頂いたからこそと感謝しております。

今回の終了の決心は、後ろ向きなものではなく、より広く語源を広めたいというものから生まれました。47歳からの始まり20年を経過した語源の取り組みの集大成に「語源かるた」の冊子化を目指してみます。達成イメージは、日本の高校1年の1学期のカリキュラムに「英語・語源」という科目が定着している姿です。10年くらいを掛けてみようと思います。日々の生活で、掛け算の九九を自然に使っているように、英語に接する人が無意識に語源を使っている、そんな環境を作りたいと思っています。この語源シリーズブログをお読み頂き、英会話に興味を持たれた皆様、是非一度KEC外語学院の無料合同説明会無料体験レッスンにご参加下さい。

またお会いできる日を楽しみにしながら、終了させて頂きます。

皆様のご健勝とご多幸を応援致しております。

有難うございました。

水守 勤三

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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