KEC外語学院ブログBlog

Enjoyボキャビル:高校1年生からシルバーまで 

語源・町のお医者さん・水守勤三です。5年前に始めた、このブログも、今回を含めいよいよ残り5回となりました。そこで、この5回については、接頭辞・語幹・接尾辞や同化・母音の変化といった具体的な個々の知識から離れ、「語源との付き合い方」をお伝えしてみます。第1回は「語源の勉強はいつぐらいから始めるのが良いか」について私の考えをまとめてみます。

高校1年から

これまでに100回近く、ライブやオンラインで、語源講座をやってきました。受講者は様々ですが、授業の中で「へぇ〜」や「あぁ〜」という声が必ず漏れてきます。単語で感激する・感動する、というのは、語源からのアプローチならではのものだと思います。また、この感激・感動をできる人は、語源からの語彙力養成に成功する資質を十分に持っていると確信します。

さて、では「へぇ〜」や「あぁ〜」という声が、なぜ漏れてくるのかを考えてみます。高校の授業でsymmetryという単語に初めて出会った時には「symmetry = 対称」と覚えようとするはずです。そこには感激・感動は発生しません。しかし、もし語源の知識があり「sym-は“一緒”、metryは“meterの変化形”、だから“(左右が)同じ距離”⇒対称」とワンクッション入れることができればどうでしょう。

高校1年であれば、meterという概念は十分に出来上がっていますから、metrymeterに関係があると言われれば納得できるます。基礎単語が安定している高校1年生くらいからは十分に語源的アプローチは可能です。

シルバーまで

次に「いつまで」の問題です。答は「気持ちのある間はずっと」です。年齢を重ねると、くどくなるのが人の常。実はこれほど、語源に適した特性はありません。「persecutionprosecution、違いわなぁ〜。secutionが“後を付けていくこと” per-perfectper-で“貫き通す”だ、ずっと付いてこられたら嫌なものなので迫害だ。pro-は“前へ” 捜査に続けて手続きを前に進める、だから“起訴する”だ」などと何度も話している間に、知識が安定します。語源をやっていると、他人に話したくなるネタはどんどん増えていきます。

「単語調べ」が「英語」?

学校の予習にしても、仕事の資料作成にしても「日本人の英語」に占める「単語調べ」が非常に大きい、大き過ぎると考えます。「日本人は中学・高校・大学と英語をやってきているのに、簡単な英会話もできない」ということがよく言われますが、私はこの考えに反対です。算数・数学や国語の学習時間との比較で、「これだけ英語をやってきているのに」という考え方の間違いを唱えておられる専門家の方々もおられます。それは小学校で英語を必修化してもさほど変わるものでもありません。学習時間が少ない上に、その多くが「単語調べ」になっている現状から脱却するには、語源が必要だと考えます。高校の先生方、英会話学校の先生方、また、企業内の英語指導ご担当の方々が、語源を極自然なこととして指導しておられる日が一日も早く来ることを願ってやみません。

語源を学んで英会話力向上

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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