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Enjoyボキャビル:「退位」と「辞書」

語源・町のお医者さん・水守勤三です。連日、ニュースで各地の開花情報が流れています。桜に祝福されるかのように色々なものが動き出す春、平成天皇の退位が近付き、元号も変わろうとしています。そこで、今回は「退位」を取り上げてみます。動詞はabdicate、名詞はabdicationです。語源に興味を持たれている方には、この単語の気持ちが伝わってくるのではないでしょうか。

ab-はお馴染みの接頭辞

absent ⇔ present, abnormal normal, abuse use, abduct conductなど、「有名な」単語に付いて、away, from, away from, off, apartなどの意味を加えています。もうこれで「退位」の準備が出来て来ています。

では、残る-dicateは?

これも語源が好きな方には、お馴染みになっている語幹。代表選手は中学必修単語 dictionary dictionary(辞書)diction(言葉遣い・発声法)←語幹:dic-, dict-(say)という流れです。語源から見ると「退位」は「離れると言う」となります。如何ですか。何としてもお伝えしたい“語源のパワー”がここにも見えるように思います。

挑戦!-dicateで終わる単語

abdicate=ab-+dic+-ate(ここでは-ateは名詞語尾)の構造が分かったところで、語彙を増やしたり、安定させたりするためのトレーニングです。「-dicateで終わる単語をいくつ出せますか」に挑戦してみてください。自分で書き出した後は、電子辞書で自己採点してみましょう。「-dicateで終わる単語」の検索の仕方は覚えておられるでしょうか。そうです「~dicate」か「*dicate」です。私が愛用していますセイコーインスツルのSR-G10000では16語が表示されます。内6語が偶然による表示ですが、逆に言えば残りの10語が「退位」と同じ語幹から出来ていることを表しています。因みにこの6語もグループわけが可能です。adjudicate(判決を下さす)syndicate(企業連合)eradicate(撲滅する)radicate(根を下ろさせる)medicate(薬で治療する)self-medicate(自分で治療する)の3つです。ということは、SR-G10000という比較的語彙数の多い電子辞書が表示する16の-dicateも、語幹はたったの4つということになります。

残る10語はすべて –dicate = say から

abdicate, contraindicate, dedicate, indicate, objective predicate, predicate, preindicate, rededicate, revendicate, vindicateがその10語です。お馴染みの接頭辞ばかりです。辞書で意味を確認しながら、また、例文も見ながら馴染んでいけば、左脳とともに右脳も活用して記憶に留めていくことができるのではないでしょうか。

最後に、「退位」の後には「即位」もあります。throne(王位)をご存知の方には、“しびれる英単語”であることをお約束して今回のお話を終了致します。また、次回。

英会話上達に向けての勉強法

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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