KEC外語学院ブログBlog

JoyVo:Vaccination と Inoculation

春本番を感じさせる日差しの中、自転車の前かごに乗せてもらった子どもが熟睡をしていました。お母さんと子ども、すごい信頼関係だと感じました。
こんにちは、語源・街のお医者さん、水守勤三です。
前回から、新シリーズとして「語源を使って語彙力を強化する」とはどのようなことを、私なりの考えでお話を始めました。今回も早速それに取り掛かるつもりだったのですが、やはりブログですので、その時々に感じたことも付け加えてみようと思います。

vaccination inoculation

最近のニュースで、inoculation という言葉を耳にすることが増えてきました。両方とも「接種」という意味のようです。ワクチン= vaccine を接種するので、vaccination と連想することが簡単です。では、inoculation とはなんぞや、好奇心が動き出しました。

辞書で、vaccinate を引いてみると、注意書きのような感じで、「1803年 フランス語の vaccineerの影響による造語(以前は INOXCULATE を用いた)」と案内がされていました。
そうなると、次なる興味は、inoculate とはどんな材料で出来ているのかへと移っていきます。

ワクチン接種と双眼鏡

私が語源に興味を持ち始めたのは、47歳です。2年ほど、楽しくてたまらない時期が続きました。その時に、bicyclebiligual に登場する接頭辞 bi- = 2の単語を追いかけました。その中に、binocular = 双眼鏡、があったのを覚えています。先頭のbin- は、bi- = 2 の変化形です。telescope で十分なのですが「双」=bi-」になる関係がとても心地よく、素直に入ってきました。
双眼鏡の双が bi- なので、どうも眼が ocular 付近なんだろう、というような予想を立てながら、辞書を読み進む、ここが語源との付き合いを長持ちさせるコツだと思います。

inoculation を調べてみると、「in- = to — = —へ」+「ラテン語 oculus = eye」+「-ation = 名詞語尾」となっていました。大正解です。

「単語を孤立させない」はとても大切なことだと思います。もちろん、今回は「binocular = 双眼鏡」という知識があったために起こった現象ですが、「inoculation = 接種」を孤立させないことがとても価値あることだと思います。

では、今シリーズのテーマに進んでみましょう。前回は「単語の中にある単語」を見つけてみましょうとご提案しました。blackboard, address, outcome, impartial, conscience のように、完成品の単語の中に、材料としてちゃんとした形のままの意味の基となる単語が入っているのです。私はこれだけで感激します。

単語の中の単語 その2

今回も前回と同様「単語の中の単語」です。では、次の単語に含まれている単語を見つけてみてください。

gradually, individual, evaluate, concentrate

如何でしょうか。

始めは見つけにくいかも知れませんので、それぞれの単語に意味を付けてみます。「単語の中の単語」がしっかりと意味に出てきています。

gradually 徐々に
individual
 個々の
evaluate
 評価する

「concentrate 集中する」は前回の impartial の中にいる part ように、基となる単語がそのままの形で残っているのではなく、少しだけ変化しています。

grade → gradually 徐々に
divide → individual
 個々の
value → evaluate
 評価する
center → concentrate
 集中する

上の3つは、元々発音されていなかった語尾の -e が消えて他の語尾が付けられただけです。最後の center から centr- への変化も説明ができる変化です。(気になる方は辞書で center を引いてみてください。centre という綴りが紹介されています。)

「単語の中の単語」は大切な第一歩

contain のように、-tain で終わる語がたくさんあります。この語の中心部(=語幹) tain には、今の英語でいうと「hold = 持つ」の意味があります。impartial であれば、「部分的でない」「公平な」と展開ができますが、「tain = hold = 持つ」となるとなかなかそうはいきません。とても近い将来にこれらにも取り組みますが、まずは「元の形のまま」あるいは「ほぼ元の形のまま」で静かにたたずんでいる単語を発見する練習をしてみてください。「習うより慣れよ」でいってみましょう。

練習題:income, secretary, compromise, abuse, alienate, exorbitant

では、また来月お会いしましょう。

この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

Facebook シェア
Twitter ツイート
LINE LINEで送る
はてなブックマーク
   

関連情報

Category

Archive