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読書の秋!多読の秋!英検®の秋!

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こんにちは。KEC外語学院の塚田です。本日、本棚を整理していると、古い英文雑誌(The Economist)が3冊出てきました。読書の秋ということもあり、本日はその中の記事を一つ取り上げます。少し古い記事になりますが、2010年7月3日の記事でCyberwarというものです。現在でもCyberwarのHP上で閲覧できます。本日は、The Economist の記事 “Cyberwar” を訳しました。日頃あまり英文を読まれていない方が英文雑誌にチャレンジするきっかけになれば幸いです。

 

Cyberwar (The Economist)

各国がネット上での軍縮について語り始める時期である。

 歴史を通して、新技術が戦争に革命を起こしてきている。それは、急激な革命である時もあれば、ゆっくりとした革命に過ぎない時もある。戦車、火薬、航空機、核分裂について考えてみよう。すると、戦争が情報技術と共にあることがわかる。コンピュータとインターネットは経済を変え、西側諸国の軍隊に大きな優位性を与えてきている。それは、遠隔操縦無人機を世界中に送り、機密情報を収集したり目標を攻撃するという能力である。しかし、デジタル技術の広がりは犠牲が伴うのである。それによって軍や社会がデジタル攻撃に曝されるのである。

 その脅威は複雑であり、多面的であり、潜在的な危険度が非常に高いものである。現代社会はインターネットに接続されたコンピュータシステムにますます依存しており、それが原因で敵により多くの攻撃手段を与えてしまっている。もしも仮に発電所、精製所、銀行、航空管制システムがダウンすれば、人々は命を失う事態になるだろう。しかし、サイバー空間には、他の領域であれば行動を左右する、場合によっては戦争でさえも左右するという類のルールが、たとえあるとしてもほとんどないのである。核兵器や通常兵器の管理と同様に、大国はサイバー戦争の脅威をいかに減らすかについて議論し始めるべきであり、その目的は手遅れになる前にサイバー攻撃を制限することである。

 

軍が再起動する 

 サイバー空間は、陸、海、空、宇宙に次ぐ第5の軍事領域となっている。現代社会を動かし続けているシステムがほぼ同時にダウンする、というシナリオがある。コンピュータネットワークが崩壊すれば、化学工場をはじめとする工場が爆発し、衛星はコントロールを失ってクルクルと回転し、財政や高圧線配電網が崩壊するというものである。

 それは、多くの専門家にとっては大げさなシナリオであるように思える。しかし、ネットワークに侵入することは、意志、手段、時間がある人にとっては非常に易しいという点に大半の人が同意している。政府はこれを承知している。というのは、政府自らが非常に熱心なハッカーだからだ。スパイは、相手がグーグルであれ防衛請負業者であれ、しばしばコンピュータシステムに侵入し、倉庫1個分の情報を盗み取る。ネットワークに侵入し、コンピュータシステムにダメージを与えることは、それほど難しいことではない。十分に注意を払えば、完全犯罪になるのだ。

 2007年のエストニアに対するサイバー攻撃や2008年のジョージア州に対するサイバー攻撃は、ロシア政府によって指示されたものであると多くの人が推測しているが、攻撃の元をたどってもロシアのサイバー犯罪者にたどりついただけだった。因みに、ジョージア州に対するサイバー攻撃は、奇妙なことに偶然、ロシア軍がコーカサス山脈を横断して前進するのと同時だった。攻撃に使われたコンピュータの多くは、罪のないアメリカ人が所有しているウイルスに感染したPCだった。企業は、中国が西側のノウハウを求めてハッキングをするために小さな攻撃を組織的に行っていると疑いを持っている。しかし、多分ただ単に、西側の犯罪者、目立とうとするハッカー、職場に幻滅した元従業員だったのかもしれない。西側政府が最近までサイバースパイ活動について無口でいたのは、政府自らがそれの達人だったからでもある。

 核爆弾と同様、サイバー兵器の存在それ自体が、まさにそれが使用されるということを意味するわけではない。さらに、1回のサイバー攻撃が相手国に対してどのような影響を及ぼすかという点に確信は持てず、そのために自国の部隊の配置が非常に危険な状態になるのだ。このことは、精密な軍事機構にとっては欠点となるが、テロリストや悪党国家の軍にとっては必ずしもそうではない。そしてそのことが、サイバー空間での犯罪やスパイ活動の危険性の余地を残しているのだ。

 これら全てが、危険な不安定性につながるのだ。サイバー兵器は、使用法や使用時期に関して議論されることなく、秘密裏に開発される。その本当の威力を知っているものは誰もおらず、それゆえに国家は最悪の事態に備えなければならない。また匿名性によって、過ち、原因の見誤り、計算ミスによって(従来の兵器もしくはサイバー兵器による)軍拡が生じる危険性が増すのだ。電子攻撃が開始される速度は極めて速いため、冷静な反撃を行う時間がほとんどなく、早期の攻撃、場合によっては先制攻撃が奨励されるのだ。コンピュータ化された兵器や兵士によって、『戦争という霧(the fog of war: マクナマラ元米国国防長官が20世紀の戦争を振り返ったドキュメンタリー)』の中で挙げられた20世紀の戦争の姿が戦場から吹き飛ばされ、サイバー空間が、不確かさという霧よりも濃い驚異的な毛布で覆われたのだ。 

 この増大する脅威に対する反応は軍隊である。イランは、世界で2番目の規模のサイバー軍を保有していると主張している。ロシア、イスラエル、北朝鮮は自国の努力の結果による力作に誇りを抱いている。アメリカは、自国のネットワークを防御し、敵国に対する攻撃を考案する為に、新しいサイバー軍を立ち上げている。NATOが議論しているのは、同盟国が武力攻撃を受けた時に救援に行く義務が加盟国に課されるが、サイバー戦争をどの程度までその類の「武力攻撃」の形態とみなすかという点である。

 世界は、サイバー軍の制御とサイバー軍の抑止力を必要としている。アメリカは最近まで、サイバー軍の兵器に関する条約を結ぶことに抵抗してきた。アメリカが恐れているのは、仮にそのような条約が成立した場合、それがインターネットに対する厳格な世界的規制につながり得ること、そして、アメリカのネット起業の優位性が蝕まれ、技術革新が抑制され、ネットを支えている開放性が制限されてしまうことがあり得るということである。また、高い評価を受けているアメリカのサイバースパイやサイバー兵がもしも制限を受けた場合、サイバー戦争に向けてのアメリカの取り組みが最も損害を受けるということに対しても、おそらく同様に恐れているのである。

 そのような考えは、最終的に変化の兆しを受けるが、それは良いことだ。アメリカは、コンピュータに最も依拠している国として、おそらく最も、サイバー攻撃の被害を受けやすい。従来の軍事力が意味するものは、敵国は非対称型回線を探すであろうということである。スパイ活動によって機密情報全体が漏れることは、国家の経済的・軍事的優位性を損なう危険性を意味するのである。

 

軍事力・武器による戦争と、ネット上の戦争

 サイバー空間での軍縮がアメリカの優勢を意図するものであれば、アメリカがサイバー空間で優位を占めている間に協定を結ぶのが賢明である。キース・アレクサンダー将軍は、サイバー軍を率いる4つ星の将軍であるが、「国際的討論の為のスタート地点」として協定を結ぶことをロシア政府が長年に渡って求めているのを歓迎するのは、正しいといえる。とはいうものの、(サイバー兵器を管理する条約は有用だが)戦略兵器削減交渉(the Strategic Arms Reduction Talks: 1983年より始められた米国と旧ソ連間の兵器削減交渉、通称START、核兵器を管理する条約)のような既存のスタイルの協定は、作り上げるのが不可能であると分かってしまうかもしれない。核弾頭は数えることができ、ミサイルは追跡可能であるのに対し、サイバー兵器は生物兵器のようなものであり、誰かがどこかで作ってもそれが分からないのである。 

 従って、条約が成立するまでの間、各国が合意すると思われるのは、より控えめな協定、あるいはサイバー攻撃の際の政治的コストを高める非公式の「交通ルール」というようなものである。多分、エストニアやジョージア州のサイトが大量の偽の情報開示要求でダウンさせられた、粗いDOS攻撃を防ぐような協定を結ぶことが可能であろう。NATOEUであれば、現実世界と同様にサイバー空間においても、攻撃を受ければ反撃するということを明確にしておくことが可能である。国連やジュネーブ条約の締約国であれば、民間施設へのサイバー攻撃は、爆弾や弾丸を使う物理的攻撃と同様に、明らかに戦争行為であると宣言することが可能だ。富裕国であれば、サイバー空間で攻撃を仕掛けてくる犯罪者と闘う手段を持たない国家に対して経済的圧力をかけることができる。各国は、アメリカが核兵器、ミサイル防衛、宇宙について実際に行っているように、サイバー空間での軍事政策の詳細を積極的に説明するべきである。また、サイバー攻撃を監視する国際センターの設立も可能だろう。もしくは、サイバー攻撃を受けている国を、攻撃側の国籍や動機に関係なく救助する国際的な義務を設けることも可能だろう。それは、遭難している船員を船舶が救助する義務があるのに似ている。

 

多読のススメ

 英語力の向上には、多読が非常に重要です。多読をすることで、いろいろなものを身に付けることができます。語彙力は勿論、内容を深く読み取る力や速読力が身に付きます。因みに、「英文を読む速度は、今までに読んできた量に比例する」と言われています。英検1級・準1級には、新聞や雑誌の記事が使われることがありますので、英検の受験を考えていらっしゃる方は特に、”The Japan  Times” “Time” “The Economist” などを沢山読むのもよいでしょう。

 次回もリーディングを扱う予定です。お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

この記事の筆者

KEC外語学院KEC Foreign Language Institute

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