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TOEFL iBT受験を目指している方にお伝えしたい読解力向上の方法と土台
- 2017年09月09日
- TOEFL iBT® TEST
前回は単語の話をさせて頂きましたが、今回は読解についての話をしたいと思います。もちろん、問題文を読み、そして正解に辿り着けるようになることが大目標です。しかし、そこに至るためにはいくつかの越えなければならないStepがあります。今回は、『読む』という、ある意味で非常に人間らしい営為に、やや哲学的に、そして科学的に迫ってみたいと思います。
Step 1 語彙力
さっそく読みに必要な要素の話をしていきましょう。第一に必要とされるのは語彙力です。前回の単語力と相通じるところがありますね。ここでいう語彙力とは、語彙をどれだけ知っているか + 語彙をどれだけ類推できるか、です。前回にも指摘をしましたが、リーディング・セクションでは約9問のVocabulary問題があります。ここを計算できる得点源にすることがすべてのテストテイカ―に求められます。
では、どれくらいの語彙力(知識 + 推測力)があれば良いのか?英検2級や高校課程修了レベルでは、知っておくべき単語数は4,000程度とされています。残念ながら、この水準ではTOEFLには全く歯が立たないと言っても良いでしょう。様々な資料やデータがありますが、語彙力とTOEFL iBTスコアの関係は大雑把に言うと
スコア | 60点 | 語彙 | 4,000 |
70点 | 6,000 | ||
80点 | 8,000 | ||
90点 | 10,000 | ||
100点 | 12,000超 |
となるように思われます(もちろん、個人の感想です)。では、この語彙力を測定するにはどうすれば良いのか?やはり、このネット全盛時代に、テクノロジーの力を借りない手はありません。自分のお気に入りの検索エンジンで「英語 語彙 測定」や”English vocabulary test”などで検索してみましょう。今回の記事の執筆にあたって、私も実際にいくつか語彙力測定サイトを試してみました。サイトによってかなり結果に偏りが出てきましたが、2つのサイトでほぼ同じ結果が得られたので、紹介したいと思います。
一つは英語のサイトで、知っている単語にチェックをつけていくだけという非常にシンプルなものです。その後は、自分のプロフィール(年齢やどこの国生まれか、英語学習歴は何年かetc)などを入力すると結果が得られます。こちらのサイトによると英語のネイティブ・スピーカーの語彙数は25,000~35,000、英語学習者の語彙数は2,500~9,000に多く分布するそうです。
もう一つは日本語のサイトです。見えてしまっていますが、weblioですね。その他のサイトもいくつか試してみましたが、9,000という時もあれば22,000などという数字も出てきました。あまり信用できない感じです。
語彙数はいくら多くても決して困ることはありません。また、語彙の意味を類推する力は英語力というよりも国語力の問題と言えるでしょう。知っている語彙を増やせば、その派生語も理解・把握がしやすくなります。まずは前回お伝えした通り、3800の単語帳をしっかりマスターすることに努めましょう。それと同時に、単語力・語彙力診断を受けて、自分の到達度を客観的に掴みましょう。目標スコアに応じた語彙数獲得を一つの目安として、語彙力増強に努めて頂きたいと思います。
Step 2 速読力
速読について聞いたことがない、という人は少数派でしょう。速読力が付けば読書の効率も上がり、読書の効率が上がれば、得られる知識も増え、勉強や仕事をしていくうえでも有利になります。しかし、どれくらい速く読めば、『速読』と言えるのでしょうか。もちろん、The faster, the betterなのは間違いないのですが、理解が伴わない速読には意味がありません。TOEFL iBTのリーディングは精読こそ求められないものの、パラグラフ単位での意味把握は必須だからです。
以前の記事でTOEFL iBTのリーディングの1パッセージは約700字であると述べました。それが3つ出てくるので、合計すると約2,100文字となります。そして1パッセージあたり、だいたい13の設問があるので、設問の総数も39となります。もしも1問あたり1分をかけて解答するとなると、リーディング・セクションのテスト時間の60分から39分を引いた21分が実際に長文を読む作業に充てられる、という計算になります。21分で2,100文字なので、単純計算で100文字/分で読むことが必要です。この速読力をWPMと呼ぶことがあります。Words Per Minuteの頭文字をそれぞれ取ったもので、一分あたり何語を読めるのかを表す指標として知られています。WPMについてはこちらの記事でも触れられていました。ちなみに日本の高校3年生のWPMについては諸説があり、60~90ぐらいと見積もられることが多いようです。これが何を意味するか。平均的なリーディング能力では、TOEFLには歯が立たない、ということです。
私もあるサイトでWPMを測定してみました。妥当な結果であると受け止めています。もしも貴方が80点を目指すのであれば140WPM、100点を目指すのであれば170WPM、100点超を目指すのあれば180WPMを一つの目安として考えてみてください。
読むという営為には、語彙、文法に加えて、背景知識も重要です。医学の知識なく医学部の講義を聴いても、たいていの人はちんぷんかんぷんでしょう。外国語の場合でも同じです。このあたりの背景知識については過去記事で紹介しておりますので、あらためて参照ください。
Step 3 要約力
TOEFLは日本の大学入試問題などに比べてかなり難易度が高く設定されています。しかし、ひとつ特段の配慮が為されている部分があります。それはパッセージのタイトルが明示されている、という部分です。タイトルは、ある意味ではその文章全体の究極の要約です。そして、これが有るか無いかで文章の読みやすさが大きく変わります。試しに今日の新聞を見てみましょう。一面の記事を、“見出しを一切目にすることなく”読んでみてください。またはネットのポータルサイトのニュース記事でも良いでしょう。見出しやヘッドライン、タイトルがいかに文章全体の内容理解に(無意識のうちに)役立っているかを実感できることでしょう。
逆に言えば、TOEFLのリーディングは大学入試の長文とは異なり、必ずタイトルが付されているということには、重要な意味や配慮があるからということになります。パッセージを読むときには、必ずタイトルを念頭に置きながら読むようにしてください。そしてタイトルと同じ語、もしくは類義語、類似表現が用いられている文章に注目する癖をつけてください。ETSの公式テキストを使っている人は、ページをコピーして、該当箇所にアンダーラインを引いたり、マーカーで色を付けても良いでしょう。そして、それらのセンテンスがどのようにサマリー問題に関わってきているかを分析してみてください。驚くほどの関連性があることが分かるでしょう。サマリー問題への実践的アプローチについては、講座で触れていますので、興味がある方はぜひ来校してみてください。
以上、リーディングの攻略に必要な要素について、具体的な数字を織り交ぜながらお話をさせて頂きました。大前提として言わなければならないことは、TOEFLは難しいテストだ、ということです。しかし明確な攻略方法が存在するテストです。たとえて言えばダルビッシュ有のようなピッチャーと言えるでしょうか。球速も高く、変化球も多彩で、超スローボールを投げてくることもあります。しかし、もしも彼が『初球は必ずSFF、二球目は必ずスライダー、キャッチャーのサインに首を振った後は必ずストレートを投げる』というようなデータが出揃っていればどうでしょうか?打者としては、それぞれのボールを確実に打ち返すためにバットを振るのみです。そのバットを振るというのが、語彙力や速読力の増強に相当すると思ってください。練習を苦にしないという方は、私達と一緒に対策をしましょう。
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