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JoyVo: お馴染みの語から新単語へ

こんにちは、語源・町のお医者さん、水守勤三です。今年も5月末に英語検定試験があります。自分の実力を数値化し客観性を持たせることが、検定試験の良さの大きなものとしてありますが、それとともに、検定に向けた頑張りは、結果に負けず劣らず素晴らしいものだと思っています。関連の授業を担当している関係で、英検用の単語集をよく見ます。まずはそんな単語たちの中から。

語源を学んで英会話力向上

英検1級単語の中の基礎単語

1級の単語集から5つ出してみます。意味も大切ですが、関連する単語が見えるでしょうか。

単語:saturate / lackluster / dissect / prescient / rectify
意味:満たす / どんよりとした / 分析する / 先見の明のある / 訂正する
同じ語源を持つ基礎単語:satisfy / illustration / section / science / correct

語源的視点は、英単語の覚え方・増やし方を変える、そんな気持ちがどんどん強くなります。では、そんな世界に向けて、ステップ・バイ・ステップ、前進していきましょう。

見た目では意味の見えない語幹

「メインテナンス」の基になる動詞は「維持する」を意味する maintain。その語幹 tain は、応用範囲が広いのですが、これまでに取り上げてきた  1.語幹がそのまま見えている単語(例:outcome)  2.語幹が少しだけ形を変えている単語(例:gradually  3.面影程度残っている単語(例: = fluently)などと異なり、形からは意味の手掛かりが見えてきません。今日は、この語幹 tain のように、見た目からは意味が想像できない語幹を取り上げてみます。

単語の後ろで集めてみる

sub- で始まる単語を5つ言ってみてください」と言われたらどうでしょう。subject, submarine, substance, submit, subscription, suburb, …などなど、すっと出てくるのではないでしょうか。では、「-tain で終わる単語を5つ言ってみてください」と言われたらどうでしょう。挑戦してみてください。

contain, sustain, obtain, entertain, maintain, detain, retain, abstain, pertain …

いくつか難しいと言われる単語もありますが、前半はほとんどの人が知っている単語です。前半の5つをとっても、これらを「語幹 tain で出来ている同じ語源を持つグループ」として記憶に留めている人はほとんどおられないのではないでしょうか。

語幹 tain には「持つ=hold」という意味があります。「語幹が見えるようになると接頭辞が気になり始める」・「接頭辞が見えるようになると語幹が気になる」の両方があり、徐々に接頭辞の感覚も磨いていくことができるようになります。

「接頭辞+語幹」で単語を語る

上の語を順番に語ってみます。

contain:何かと一緒に「持つ」含む
sustain:下から「持つ」支える
obtain:ぱっと「持つ」手に入れる
entertain:間をとり「持つ」楽しませる
maintain:手で「持つ」操作する
detain:離して「持つ」勾留する
retain:後ろに「持つ」保持する
abstain:離して「持つ」慎む
pertain:貫き通して「持つ」関連する

如何でしょうか。接尾辞も語幹もそれぞれが意味を残しているように思います。

単語は千単位、パーツは十や百

今回の語幹 tain hold の意味になるように、現代の英語になんら手掛かりが見えない語幹があります。「英単語を覚えるだけでも大変なのに、接頭辞や語幹の意味まで覚えられない」という気持ちになるのは当然ですが、実は冷静に考えると「英単語をぶつぶつに覚える」ことの方が大変だということが見えてきます。

例えば、色々な検定試験用の単語集にはどれくらいの単語が掲載されているでしょうか。きっと1000語前後、検定試験の種類によっては5000語あまりを取り扱うものもあります。それに対して、パーツははるかに少ないのです。接頭辞30・語幹100・接尾辞30、をお勧めしています。

書店にならぶ語源関係の本から、自分に合いそうなものを1冊入手してみてください。多くの本が、語幹を中心に編集されています。その数もだいたい100前後です。また、本の中で接頭辞・接尾辞もまとめられていると思います。

最後に、授業で「-tainで終わる単語」をお聞きすると、多くの方から「プロテイン」が出てきますが、これは綴り(protein)も発音も違いますので、別グループです、ご参考まで。

次回は、パーツの先頭として、接頭辞に入っていこうと思います。ご期待ください。

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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