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英作文に取り組む際の様々なツールの使い方について

英作文へのアプローチ

こんにちは、KEC外語学院の金子です。今回は少し視点を変えて、英作文について書いてみたいと思います。現在、KEC外語学院の理論クラス(入門以上)に在籍されている方は、Blue Sheetと呼ばれる英作文課題をレッスン中に出させて頂いております。ただし、レッスン中に取り組むのは、英語の骨格部分を作って口頭で発話してみるぐらいです。この課題の眼目は、自宅などで辞書や参考書を参照しながら、極力正しい英文を作ってきて頂く、さらにそれに対して教師がフィードバックを与えていく、というサイクルにあります。

狙いは、受講生の方に独立して英語の勉強をできるようになって頂く、というものです。理論クラスであれ実践クラスであれ、発話された英文に大きな間違いがあれば、教師は指摘します。しかし、受講生の方のビジネスや旅行の場にまで教師が付き添うことは叶いません。本当に大切なことは、独立不羈の精神で勉強を続けていけるようになることです。そのためにはモチベーションと確立された勉強方法の二つが必要でしょう。モチベーションについては各人各様ですが、勉強方法については万人に共通するものがあると考えます。本学院のBlue Sheetへのアプローチを通じて、勉強法について語っていきたいと思います。

まずは下の日本語文をお読みください。

ウィキペディアの良いところは、誰でもそれを編集できるということです。しかし、ウィキペディアの悪いところも、誰でもそれを編集できるということです。しかし、私は信じています。インターネットのユーザーたちがウィキペディアをより良いものにしていってくれるということを。今や同ウェブサイトも十分な年数を重ねてきたので、多くの人がそれを貴重な、信頼できる情報源として参照しています。ウィキペディアは世界で5番目に大きい(注:2013/03/02時点)ウェブサイトだということをご存知でしたか?それが非営利団体によって運営されているという事実は広く知られています。ウィキペディアへの訪問者はとても多いので、多くの企業がそれを広告用サイトとして利用したがっています。しかし、ウィキペディアの創設者たちは、同サイトは金儲けのビジネスとは無関係であるべきだというポリシーを堅持し続けるでしょう。善良な人はいつでもいるというように、世界は出来ているのです。

これは理論クラスの中級準備レベルで課されるBlue Sheetです。今回は、実際の中級準備教材の作成者の私の視点から、この課題にどのように取り組むのか、その際にどのようなツールをどのように使っていくべきなのか、について解説をしていきたいと思います。英語・英会話教師がどのように勉強して、どのように自身の英作文の正確さを検証しているのかを見てみましょう。

まずは書いてみる

それでは、第一文からトライしてみます。最も重要なことは、いきなり辞書を使わない、ということです。まずは自分の知識を総動員してみてください。そうすることによって、自分の強みと弱みが見えてきます(SWOT分析みたいですね)。

ウィキペディアの良いところは、誰でもそれを編集できるということです。

主語は「ウィキペディアの良いところ」、動詞は「です」、補語は「~~~ということ」というのが、パッと目につきます。ウィキペディアの良いところ is that S + V .”という英文の構造が浮かび上がってきました。ここで「ところ」をどう表現するかが思案所です。ここは後回しにします。補語の部分に取り掛かります。ここは比較的簡単です。that 誰でも = anyone  編集できる = can edit, それを = it と瞬時に置き換えられます。that anyone can edit it.で完成です。

ウィキペディアの良いところ is that anyone can edit it.

では、そろそろこのあたりで辞書を使ってみたいと思います。weblio英和辞典・和英辞典で「ところ」を調べてみました。

辞書を使う

英作文時の辞書活用画面

訳語の候補として、position, place, topographic point, place, spot, stationが挙げられています。良いところ=the good position, the good place, the good (topographical) pointなどが考えられるのでしょうか?「ウィキペディアの良いところ」というのは、ウィキペディアの所有物ではなく、ウィキペディアに関する良いところと解釈して、「の」に当てる前置詞はofではなく、aboutにしたいと思います。

The good position about Wikipedia

The good place about Wikipedia

The good point about Wikipedia

果たしてどれが英語として適切なのか。また、どうやってそれを調べるのか。

ネットで検索をしてみる

今やネットを使わずに一日を過ごすことが困難な我々現代人ですが、このインターネットというツールを勉強に有効活用しない手はありません。ここではグーグル検索を利用したいと思います。グーグル検索でヒットすれば、誰かがその表現を使っている ≒ 正しい(または通じる)表現である可能性が高い、と考えられます。ただし、ここでは普通の検索ではなく、少し高度な検索テクニックを使います。高度と言っても、難しい操作などは何もありません。検索したい文字列を ~~~というふうにクォーテーションマークで囲むだけです。

“The good position about Wikipedia”

“The good place about Wikipedia”

“The good point about Wikipedia“

上のような形で、検索してみるだけです。簡単ですね。さて、結果はいかに。

英作文時のネット検索活用画面01

何と一つ目はヒット無し!

英作文時のネット検索活用画面02

二つ目もヒット無し!

英作文時のネット検索活用画面03

最も可能性がありそうだった”The good point about Wikipedia”までもがヒット件数ゼロ!これらの結果から、The good position / place / point about Wikipedia という言葉の並びは、少なくとも万人受けする表現ではないと言えそうです。

 国語辞典や類義語辞典を使う

さて、困りました。こういった時には原点に立ち返ることが重要です。つまり、日本語の意味から再検討が必要なのかもしれません。「ところ」をオンラインの国語辞典で引いてみると、以下のような結果を得ました。

英作文時のネット検索活用画面04

 

㋕事柄。内容。こと。

どうやら、これが意味的にも文脈的にも合いそうです。ここであらためてweblioでそれぞれ調べてみますと

事柄=matter, affair

内容=content, detail

こと=thing

という結果を得ることができました。ここからさらにグーグル検索に立ち戻ります。残念ながら”The good matter/affair about Wikipedia””The good content/detail about Wikipedia”ではヒットはゼロ件でしたが、”The good thing about Wikipedia”では約3,170件の一致が見られました!

英作文時のネット検索活用画面05

この結果から、The good / bad thing about Wikipedia is ~という表現はそれなりに妥当性があるものと考えられそうです。以上、ひとまず英作文を行う際の辞書とウェブ検索サービスの使い方の一例をご紹介させて頂きました。

Ngram Viewerを活用する

Ngram Viewerという言葉を聞いたことがあるでしょうか?まだまだ日本での認知度は低いと思われますが、正式にはGoogle Books Ngram Viewerと呼ばれています。グーテンベルクの昔から現在までに出版された書籍をdigitizeし、それらの中で用いられてきた語の並び(五字まで)を検索できるというものです。たとえば「尊敬を得る」と辞書で調べた時に、gain respect, earn respect, win respectなどが見つかります。もちろん、ウェブで検索しても良いのですが、こうした時にさらに重宝するのがNgramです。

英作文時のネット検索活用画面06

上の画像は、それぞれのコロケーションの用いられる頻度や、その変化が時代とともにどう変わっていったのかを非常に分かりやすく視覚化してくれます。また出版された書籍内のみを検索するということは、文章のプロによって書かれたものだけから検索するということでもあります。なので、ある程度フォーマルな表現である傾向は高いのですが、それだけ間違いのない結果が得られるとも言えます。Ngramの使い方については、いろいろと検索をしてみてください。びっくりするようなテクニックがたくさんあります。その中で特に知っておくと便利なのはワイルドカード検索です。これは【検索したい語句 * 検索したい語句】と入力することで、asterisk部分を様々な語で保管して検索してくれる機能です。例えば、【choose * restaurant】と入力すれば、

英作文時のネット検索活用画面07

という結果が得られます。choose a restaurantが、(書籍の中の)語の並びとしては最も多いということがよく分かります。動詞+冠詞/所有格+名詞で迷った時に有用な機能ですね。その他にも多彩な機能がNgramには備わっています。皆さんも英作文をする際に、これらのツールを少しずつ活用していって欲しいと思います。

今後ますます重要になるであろう画像検索

もう一つ、裏技的なものを紹介しましょう。今回は、良いところ=The good thingにたどり着くのにかなりの文字検索を行いましたが、グーグルには他にも画像検索という機能があります。ここで “The good thing” を画像検索してみましょう。いくつかの “The good thing about science is that it’s true whether or not you believe in it.”という文章を持つ画像にたどり着けると思います。これはかなり画期的な技術で、従来の辞書などでも単語によっては挿絵があったりはしたのですが、その数は決して豊富とは言えませんでした。この機能を使えば、たいていの単語、たいていのフレーズについて、文字ではなく画像によって意味を類推もしくは判断できるようになります。例えばECOP初級には”give the cold shoulder”や”help yourself”という、文字からだけではなかなか意味を類推しにくいものがいくつかあります。これらの慣用表現もグーグル画像検索をしてみてください。直観的にその意味を理解できるようになるでしょう。今後の英語学習の際には、文字だけではなく画像(そして近い将来は動画も・・・)によって理解を深めていくことがますます重要になっていくでしょう。ぜひ今の内から、これらの有用な機能を使いこなせるように色々と取り組んでみて頂ければと思います。

「ウィキペディアの良いところは、誰でもそれを編集できるということです」という一文の前半部分だけでも、これだけのリサーチが可能です。もちろん、英作文課題に取り組む際に、毎回ここまでしなくてならない、ということは全くありません。そこはご安心ください。ただ、必ずしも外国語学習に限らないことですが、最も技能を伸ばすことができるのは自学自習や自主練習です。本日、この記事で紹介させて頂いた方法のいくつかを使って、今後のBlue Sheet課題に取り組んでみて頂ければ幸いです。

KEC外語学院

金子 燦之

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