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JyoVo:2つの最強接頭① ad- 

語源を学んで英会話力向上

こんにちは、語源・街のお医者さん、水守勤三です。10月の初めはティシャツで過ごせたことが嘘のような冷え込みです。体調管理にお気をつけください。

だれに向けての「トリクルダウン」

10月末の衆議院選挙に向けた街頭演説の風景がニュースで流れます。その中で「この言葉は、誰に向けて、何を伝えるために使っているのだろう」と思うことがよくあります。例えば、「に向けてコミットしてまいります」(今、イメージで作りました)。カタカナ語になった部分で、日本語にするとどんな言葉で、何を言いたいのだろうと考えてしまいます。

「トリクルダウン」が、最近、気になっています。ウィキペディアには、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」とする経済に関する仮説、とありました。演説で、どれくらいの人が意味を理解するのでしょうか、また、発言する人はどれくらいの人が理解すると考えているのでしょうか。

語源にも似たところがあります。「語源・街のお医者さん」でありたいと思う理由です。では、本編へ。

「…へ・…の方へ」 ad-

これまでの4回で以下の接頭辞を取り上げました。
re-, in-, ex-, inter-, pre-, pro-, com-, syn-, super-, sur-, sub-, ab-, ob-

なんとなく意味も想像できるような見慣れた接頭辞だったと思います。そこで2回を使って、接頭辞と意識してもらえることがあまりないのに、とても大切な接頭辞ふたつをご紹介しようと思います。ひとつ目は ad- です。まずは、ad- で始まる単語をできるだけたくさん言ってみてください。

adventure, advise, adjust, adopt, adapt, admire, add, addict, adhere, adjourn, …

これらの語の先頭の ad- はすべて「へ・の方へ」と方向性を示す接頭辞 ad- です。ひとつ分解してみましょう。admire = ad- + 奇跡(miracle) = 何かを奇跡だと表現したくなるほど賞賛する、こんな感じです。

明らかに ad- は最強接頭辞に含まれます。しかし、ad- で始まる単語がそんなに多い訳ではありません。にも拘わらず、「最強」とする理由は、実は、ad- 以外の音と綴りで登場する方がはるかに多いからです。

“同化”が見えると ad- が登場

次の語を英語に直してみてください。すべて a- で始まります。

出席する, 影響する, 取り付ける, 援助する, 手配する, 引き付ける, 申し込む, 査定する,

attend, affect, attach, assist, arrange, attract, apply, assess

どの単語も、a- で始まり、2つ目と3つ目の綴りが同じ、になっています。2つ目の綴りの元は -d- で、先頭の a- と一緒になって、ad- だったのです。
 ex. attach = ad- + tach  
〔 tach は 触れる(touch) を表す語幹です〕

材料で考えると adtach なのですが、adtach よりも attach と発音する方がはるかに楽になります。このように、発音が変化していくことを、同化(どうか・Assimilation)と言います。綴りは発音を形にしたものなので、attach となります。接頭辞 ad- は同化で形を変えて登場する方が多いのです。

接頭辞 ad- だけに同化が起こる訳ではありません。中学で習う基本単語 different にも同化が起こっています。語幹は fer で「運ぶ」です。語尾は形容詞を作る -ent です。different の先頭の接頭辞は見えてこられましたか。大きなヒントをひとつ! 好き=like の反意語は何でしょう。hate と答えてくださる方が多くいらっしゃいますが、ここはそこまでレベルを上げずに考えてみましょう。

そうです。dislike です。接頭辞 dis- には元々「離れる」という意味があり、好きな状態から離れるので嫌い、こんな流れになっています。その dis- が f で始まる語幹 fer と結び付いた時、f に同化して dif- と変化し、結果として、different になってきています。

では、語幹 fer を使って、もう少し問題です。かなり難問です、チャレンジしてみてください。

問題:語幹 fer を持つ動詞で、接頭辞が同化で形を変えている単語があります。それは何でしょう。ヒント:ひとつではありません。(答えは今回のブログの最後に)

同化に気付けるようになると、単語の切れ目が見えやすくなります。ぜひぜひ意識してみてください。

接頭辞 ad- と相性がいい前置詞

次の( )に適する前置詞を入れてみてください。

   She attached a stamp (      ) the letter.
        A を B にくっつける
   They appointed her (      ) chairman.
        A を B に任命する
   He accommodated himself well (      ) the new surroundings.
        A を B に順応させる

答えは3つとも to です。接頭辞 ad- に含まれている方向性が、ペアとなる接頭辞をある程度絞ってきているのかも知れません。「ABに〇〇する」の形で出てくる ad- で始まる動詞には、前置詞 to を一番に考えてみるのは良いかも知れません。(先頭が a で始まり、綴りの2文字目と3文字目が同じ場合は、かなりの確率で ad- の同化です。上の3つの動詞もすべて同化しています。)

次回は、接頭辞の最後として、de- を取り扱います。ご期待ください。

答え:suffer = sub- + fer,  offer = ob- + fer    (これ以外にあれば、是非、お教えください)  

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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