KEC外語学院ブログBlog

「伝染病」の3段階  

語源・町のお医者さん・水守勤三です。ニュースのトップが、連日のようにコロナウィルス関連になっています。感染者数や死者数がはっきりと報道されるのを見ていて「現在進行形」であることを感じます。できることは多くはありませんが、「罹らない・広げない」を意識して行動しようと思います。

epidemic から pandemic

2月25日のニュースを見ていると、WHO(世界保健機関)が、”pandemic” を使用していました。それまでは “epidemic” が使用されていたことを考えると、コロナウィルスの広がりを感じます。「伝染病」=contagious disease” とどのような使い分けがあるのかについては、知識を持ち合わせていませんが、今日は “endemic” も含め、3つを見てみます。まず、共通部分のdemic は「democracy = 民主主義」・「demographic = 人口統計の」などに登場する「人」を表す語幹です。

規模の小さなものから見ていきましょう。
endemic = en- + demic  en- = in, on, at, near, etc.
epidemic = epi- + demic  epi- = upon, above, in addition, etc.
pandemic = pan- + demic  pan- = all, all-inclusive, etc

en- は in- の変化形、epi- は「震源地=epicenter」や「挿話=episode」に登場し in- よりも広さが出て来ます。pan- は「パンアメリカン航空」や「多神教=pantheism」など、大きな広がりを表しています。

14日間の隔離期間

quarantine=検疫・隔離」も、度々耳にします。uni-, bi-, tri-, quadri-, quinque-,…はラテン語の1,2,3,4,5,です。4にqua- の音があります。「検疫・隔離」にもこの音があるのは、昔、植物や動物の安全性を確認するために、「40日」の間、隔離して様子を見たことに由来します。コロナウィルスの潜伏期間が14日であるために、今回は quarantine が「14」になっています。

卵の上に座る孵化

incubation=潜伏期間」も耳にします。動詞は incubate で、接頭辞は endemic に登場した in, on, at などの意味を持つ en-in- です。語幹 cubate lie, sit を意味しているので、incubate は、親鳥が卵の上にそっと“座っている”イメージです。座るものがウィルスになると「孵化」が「潜伏」になってしまいます。

「愛国心」を持って「国に還す」

最後に、repatriate を取り上げます。自衛隊が配備するミサイルとして「パトリオット」が話題になったことがあります。「patriot=愛国心」という命名です。その語幹 patri には「父」の意味があり、国を父とする気持ちに繋がっています。「再び・元へ」の re- とセットになって、repatriate ⇒「父なる来るに戻る」⇒「本国に送還する」となっています。

コロナウィルスのニュースを聞きながら、上の単語たちが何度もイメージとして訴えてきました。コロナウィルスの一日も早い収束を祈りながら、各単語の中に意味があるからこそ、生き残ってきたのだなと実感しました。

語源を学んで英会話力向上

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この記事の筆者

水守 勤三Kinzo Mizumori

大阪市出身。関西外国語大学・英米語学科卒業後、KEC教育グループ(英会話・予備校部門)入社。一貫して英語教育の第一線で現場指導に携わると共に、カリキュラム・指導法開発を担当。それに並行して、KEC独自の「TP指導システム」開発にも携わる。数十年の語学・英会話指導経験から、日本人が英会話を習得するうえでの学習・指導ポイントを熟知。「学習する者は教える者の人間性と意気に感じる」を信条に、授業に情熱を注ぐ傍ら、今も指導法の研究を続ける。

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