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[1] TOEFL概要

こんにちは。KEC外語学院の金子です。こちらの記事では、TOEFL iBTというテストについて詳しく述べていきたいと思います。

TOEFLとは?

TOEFLとは Test of English as a Foreign Language の頭文字を取ったもので、外国語としての英語のテストというのが文字通りの意味です。

TOEFLは、主に北米の大学や大学院への留学を目指す方々が出願の際にスコアの提出を求められことが多い試験です。TOEFL iBTは4技能(Reading, Listening, Speaking, Writing)を測定し、各パート30点満点、合計120点満点となっており、アカデミックな内容が出題されることが多いのが特徴です。

iBTはInternet Based Testの頭文字を取ったものです。つまり、試験結果がインターネットを介してテスト実施者に送信されるのです。

受験者の中には前述の通り、北米の大学や大学院への留学を目指す人が多く、留学希望先の大学や大学院がどのぐらいのスコアを要求しているのかを事前に把握することが大事です。留学希望時期から逆算して、いつまでに出願先の教育機関が要求するスコアを取得するのかをプランニングした上で対策しなければなりません。

受験回数は年間40~50回実施されています。試験会場は主催団体であるETSの指定した会場で行われます。

インターネットを介した受験になりますので、受験者はETSが指定した試験会場でパソコンを使用して受験することになります。TOEIC®や英検®とは違った形式での受験になりますので、タッチタイピング等に慣れておくと良いでしょう。また、試験時間は各パート合計で4時間~4時間半にも及びますので、集中力を持続させることも重要です。

TOEFL iBT普及の背景

TOEFL iBTが日本で普及した理由はいくつかあります。

まず、日本の大学生の留学志向の高まりがTOEFL iBTが普及した要因の一つとして考えられます。アメリカでの日本人留学生総数は18,753人(出典:日米教育委員会 2017-2018年統計)に上ります。アメリカでの日本人留学生の場合、大学学部課程で学ぶ割合が大学院に留学している日本人を上回っています。日本国内でのTOEFL iBTの年間受験者数は8万人~10万人弱と見積もられています。

英語を母国語としていない学生が北米への留学を希望する際、英語を読む、聞く、書く、話す能力があるかどうかが北米で生活できるかどうかを判断する基準となります。TOEFL iBTは試験時間が長く、文章を読んでそれについてのレクチャーを聞き、出題される問題の解答を文章に書くといった問題であったり、自分の意見を表現することが求められたり、大学の講義そっくりの内容を聞いて問題に答えたりと、難易度はかなり高い試験です。

TOEFL iBTの特徴

英語の資格検定試験は数多く存在します。日本国内で実施されているものだけでも、60を超える種類の試験があるようです。その中でもTOEFL iBTが特に異彩を放っているのは、統合問題が存在するという点でしょう。

統合というのは、ある技能を測るタスクに別の技能を測る要素が含まれるという意味です。具体的には、スピーキング・セクションの Task 3 と Task 4 (読んで聞いて話す)、Task 5 、Task 6(聞いて話す)、そしてライティングの Task 1(読んで聞いて書く) です。このような統合問題を課すテストは、他にはTEAPが知られていますが、こちらはまだまだ認知度も普及度もそれほどではありません。統合問題は4技能をバランスよく身に付けることをテストテイカーに求めています。各技能を個別に測るテストよりも、TOEFL iBTのようなテストの方が、本当の意味での4技能測定をより正しく行えていると言えるでしょう。

もう一つ、TOEFL iBTに非常に特徴的であると言えるのは、「一人ひとりが個性的・個別的であれ=Be individualistic」というメッセージを発していることだと考えています。スピーキングやライティングで意見や考えを述べることを求める設問は、TOEFLの専売特許というわけではありません。英検もIELTSも、同様の問題を出題しています。では何がTOEFL iBTの特徴なのか?それは、受験者個人の意見や思考、嗜好を前面に出すことが求められるということです。

例えば英検1級のライティング問題は、非常に高尚で難解ではありますが、求められるのは一般的で無難な解答を記述することです。それ自体に良しあしはありませんし、そのことの是非を問うことはここではしません。

しかし、TOEFLの Speaking の Task 1 と Task 2 そして特に Writing のTask 2 では、”specific details and examples” または ”specific reasons and examples” を出すことが求められます。何故でしょうか?というのは、TOEFLというのは主としてアメリカの大学や大学院に入るためのテストですが、アメリカの大学というのはアメリカ人だけではなく多種多様な人種が集まる非常に雑多なコミュニティなのです。そうした環境の中で生きていくためには、自己主張が欠かせません。

アメリカ人の最も顕著な特徴の一つに individualistic であるということが挙げられますが、これは自分の意見をしっかりと持つこと、それを恐れることなく表明することにつながります。英語力だけではなく、ユニークであること、個性を発揮することを恐れない姿勢が評価につながるというところが、TOELF iBTが他のテストと一線を画す特徴であると言えるでしょう。

最後に、TOEFL iBTの Speaking と Writing では、細かい文法のミスや綴りの間違い、不正確な発音は減点対象にならないということも大きな特徴です。IELTSですら文法ミスや綴り間違い、正確ではない発音は減点対象にしていますが、TOEFL iBTに関しては「意味の理解を妨げないようなミスは減点しない」ということをETSが明言しています。例えば、

I agree with the statement that we should take more enviromental policies.

というセンテンスがあったとしましょう。よくよく綴りに目を凝らすと、environmentalという語に n が一つ足りないですね。しかし、こうしたミスというのは減点されません。手元にETS発行の The Official Guide to the TOEFL Testをお持ちの人は、Writing Task 2 のScore 5 essayをよくよく見て下さい。どれもこれも、少なくとも5個はマイナーな文法ミスもしくは綴りミスが見られるはずです。しかし、それでも Score 5 を獲得しているのです。 これは Speaking にしても同じで、

There is a couple of reasons why the male student isn’t satisfied with the university’s announcement.

There is の後に複数形を持ってくるぐらいなら意味を取り違えることもありませんし、satisifiedのアクセントは、saにありますが、student isn’t saTIsfied というアクセントも、この程度なら減点とはならないでしょう。このように正確性 = Correctness よりも、話しの伝わり方 = Delivery を重視するというのは、テストの採点基準としては珍しいと言えるでしょう。以上が、TOEFLが他のテストと大きく異なっている点です。

TOEFLの種類(PBT CBT ITP iBT)

TOEFLといえば、今ではほぼiBTのことを指します。しかし、一部の国や教育機関では今でも別のバージョンのTOEFLが実施されているようです。ここでは簡単にTOEFLの歴史をおさらいしておきましょう。

TOEFLはもともとPBT(Paper-based Test)、つまり問題・回答用紙を使うテストとして始まりました。このテストは日本では2007年に廃止され、iBTがそのまま後継になりました。

CBTはComputer-based Testのことで、紙ベースでの受験からコンピュータを使っての受験形式に変更されました。日本では2000年に導入されたものの、やはり2006年にiBTが導入されたことで姿を消しました。

ITPという形式のテストもあり、これはInstitutional Testing Programのことです。テストの内容としてはPBTと同じなのですが、こちらはInstitutional、つまり学院、学校などの団体専用のテストです。TOEIC IPテストのようなもの、といえばピンと来る人も多いのではないでしょうか。個人では申し込みができず、高校や大学などの機関が実施するテストにエントリーしなくてはなりません。一部の私大では、新入生のクラス分けや留学希望者の選別に今でもTOEFL ITPを実施しているようです。

iBTはInternet-Based Testのことで、これが現在は最もポピュラーなTOEFLであると言えます。スピーキングの音声データやライティングのテキストデータがインターネットを介して、すぐに採点者のところに届くというのがメリットです。すでにe-raterという受験者のライティング答案を採点してくれるシステムが実用化され、実際に稼働しています。もちろん、人間の採点官もいますが、このe-raterというのは年々進化を遂げていて、人間の書いた文章の意味をかなりの程度まで把握できるとされています。人間と機械の両輪によって採点されるのが、iBTの大きな特徴となっています。

CEFRとの関連性  

CEFRはセファールと読みます。Common European Framework of Referenceの頭文字をとったもので、ヨーロッパ共通参照枠と訳されます。多言語が使用されるヨーロッパという地域で、Lingua Francaとしての英語への習熟度を表すもので、低い方から順にA1, A2, B1, B2, C1, C2の6段階に分かれます。日本でも2020年度の入試改革で、CEFRでA2に到達していないと、特定のレベル以上の大学を受験できないという骨子案が発表されたのを、新聞報道などで読んだことがある方もいるかもしれません。C2というのは、ノンネイティブスピーカーとしては最高レベルで、ネイティブスピーカーと対等に近いレベルで言語(英語)の運用能力があると見なされます。一般の学習者であればB1₊というレベルでコミュニケーション力としては十分でしょう。B2であれば、学校や塾などで十分に英語教師が務まると思われます。今後、世界がますますグローバル化していく中で、共通言語としての英語の重要性はますます高まっていくでしょう。そして、グローバル人材としての英語力の測定には、もちろんTOEFLやIELTSなどの英語検定は活用されると思いますが、それら以上にCEFRという世界基準で英語力を測定、判断する尺度がますます用いられるようになるでしょう。CEFRとTOEFL iBTスコアの換算については、文科省による対照表を参照頂くか、Googleなどの検索エンジンで”TOEFL iBT CEFR convert”などと検索して、使いやすそうなスコア変換ツールを探してみるのも一興でしょう。

主な英語能力試験との比較

以下、主な英語能力試験とTOEFL iBTの比較検討を実施頻度、難易度、受験者という3つの観点から行いたいと思います。

TOEICとの比較

TOEICTest of English for International Communicationの頭文字を取ったものです。TOEFLとTOEICの違い以下の通りです。

実施頻度

これはTOEFLの方が遥かに多いです。TOEFLが日本国内で年間約40~50回実施されているのに対し、TOEICは大都市圏を中心に年間10回(2月と8月以外の月)実施されています。

難易度

これは一概にこうだと断定することは避けるべきでしょうが、概ねTOEFLの方が難しいと言えるでしょう。TOEICにはTOEIC SWというSpeakingとWritingの能力を測るテストもありますが、一般的な認知度は低く、依然としてTOEIC LR(Listening & Reading)の受験者数がSWのそれを圧倒的に上回っています。

また、TOEFLはアカデミックなトピックに重点を置く一方で、TOEICはビジネスシーンでの英語力測定に重きを置いています。例えば、TOEFL対策をしている人にとっては precipitation や cetacean というのはお馴染みの語ですが、TOEIC対策しかしたことがない、という人にとっては???という語彙でしょう。

逆にMBA留学やLL.M留学を志す社会人以外のTOEFL受験者、つまり高校生や大学生にとっては、 remittance や invoice という語は全く見慣れていないものでしょう。このように一概に比較することが難しいテストですが、一般的な傾向として、また私の指導歴から来る実感としても、TOEFL高得点者はTOEICでもかなりのハイスコアを取りますが、TOEICの高得点者は必ずしもTOEFLで良い結果を残せるわけではないと言えます。

受験者

上で述べた内容と少し重複しますが、TOEFLは主に留学を志望する人が受けるテストで、TOEICは就職活動や転職活動、また勤務先での人事考課や人事評価に用いられることもあるようです。ただ、日本国内でも一部の大学院進学や医学部への学士編入の際にTOEICが使われることもありますし、逆に社会人であっても社費でのMBA留学には、会社からTOEFLスコアの提示を求められることもあるようです。

このように一部重複もあるのですが、概ねTOEICは社会人向け、TOEFLは学生または学問を志す人向けのテストであると考えてよいでしょう。

英検との比較

英検の正式名称は実用英語技能検定です。こちら特定の級に分かれていて、その級に合格したかどうかが一次試験、および二次試験によって判定されます。もちろん得点も出ます。その際に、CSEスコアという概念が近年になって導入されました。これは1.受験者の得点分布のバイアスをなくすため、2.TOEFLやIELTSといった世界的によりメジャーなテストとの結果と英検の結果を対照できるようにするためです。英検についても以下の3つの点でTOEFLとの違いを見てみましょう。

実施頻度

英検は年に3回しか実施されません。一次試験が毎年1月、6月、10月に実施され、その合格者が一次試験の翌月に実施される二次試験=面接試験を受けることができます。ただ、英検については英検CBTというComputer-based Testが2018年8月から実施されています。このCBTは基本的に月に4回実施されているようですが、同一人物は年間に3回までしか受けられません。ただ、このCBTテストはいきなりスピーキングから始まるのが特徴で、一次試験と二次試験という風に分かれていません。4技能の測定を一日で行うことが出来るというのが大きなメリットです。

難易度

これは比較が実質的には不可能です。英検は級(5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級)に分かれているので、比較するとすれば、各級ごとに詳細に検討する必要があります。しかし、ここでは紙幅(というかウェブスペース)の関係から、2級、準1級、1級とTOEFLの簡易難易度比較をしみたいと思います。

英検2級合格 ≒ TOEFL iBT40~70点

Reading : TOEFL > 英検

Listening : TOEFL > 英検

Speaking : TOEFL > 英検

Writing : TOEFL > 英検

英検準1級合格 ≒ TOEFL iBT55点~85点

Reading : TOEFL ≧  英検

Listening : TOEFL > 英検

Speaking : TOEFL > 英検

Writing : TOEFL > 英検 

英検1級合格 ≒ TOEFL iBT80点~97点

Reading : TOEFL ≧  英検 (ただし語彙においては 英検 >>> TOEFL)

Listening : TOEFL > 英検

Speaking : TOEFL ≧  英検

Writing : TOEFL > 英検 

これはあくまで私の指導歴から来る実感に基づいた換算です。TOEICとTOEFLのスコアの換算のところでも述べましたが、一方の結果が良いからもう片方の結果も良いということは、当てはまることもありますが、当てはまらないこともあります。例えば、野球で盗塁が上手い人というのは50m走のタイムも良い可能性が高いでしょう。しかし、50mを抜群のスピードで走る人がバンバン盗塁できるのかというと必ずしもそうではないでしょう。TOEFLとその他の英語関連の試験の関係についても、同じようなことが言えます。

受験者

数という面では、これは英検の圧勝です。2017年の数字ですが、

小学生以下    401,787人

中高生             2,803,213人

大学生          76,331人

その他        378,815

と、TOEFLの年間8万~10万人と比べても、文字通り桁違いです。ただ、英検CBTが開発されたり、準1級や1級のライティングの出題形式が変更されたりした背景には、英検の国際標準化、すなわちTOEFLのようなテストへの親和性を高めなければならないという意識があったことは間違いありません。

IELTSとの比較

IELTSInternational English Language Testing Systemというテストの頭文字をとったもので、アイエルツと呼ばれています。このテストからは風変わりなテスト結果を得られます。1.0~9.0点のレンジで0.5点刻みのスコアを出してくるのです。4.5点だったり、7.0点という、それだけ見ると、少し寂しい点数が出てきます。

実施頻度

IELTSは大都市圏で月に3~4回実施されており、実施頻度はTOEFL iBTとほぼ同等と言えるでしょう。ただし、IELTSはスピーキングテストを別日で月に1回取ることもあり、一日ですべてのセクションを受験できるTOEFLよりも時間を取られると言えるでしょう。

そのスピーキングに関しては、面接官との対話形式で採点されます。ヘッドセットを装着して、コンピュータに向かって延々と話すTOEFLと、人間との実際の対話を求めるIELTS。スピーキングに関しては、難易度ではなく、受験者がどちらの形式に慣れているか、どちらの形式の方が取り組みやすいと感じているかが鍵になりそうです。

難易度 

スピーキング以外のセクションも比較することは難しいです。ただ、ある程度のハイスコアを取るのが難しいのはTOEFLだと思われますが、満点もしくはほぼ満点を取るのが難しいのは間違いなくIELTSです。IELTSの場合、ライティングが手書きで、なおかつスペルミスや簡単な文法ミスも減点の対象となるからです。

また、上で述べたCEFRとの関連でいえば、TOEFL iBTで120点満点を獲得してもCEFRはC1と判定されますが、IELTSでオーバーオール・バンドスコア9.0が獲得できれば、CEFRでC2と判定されるのです。私の個人的な感触は、リーディングやリスニングに使われる英語そのものはTOEFLの方がやや難しい。しかし、設問や採点基準まで含めれば、IELTSの方が手強い、というものです。

受験者

日本では、TOELF iBT受験者は年間で延べ10万人程度と見積もられています。IELTS受験者は2010~2013年の間には、年間で延べ2万人程度と見積もられていました。しかし、2017~2018年にかけてアメリカの大学の多く(数千のオーダーで!)が、留学生の英語力測定に、TOEFLだけではなくIELTSのスコアも受け付けるようになったことで、日本でも世界でもIELTSの受験者は増加傾向にあります。

特に日本では、2018年のIELTS受験者は3万人以上と見積もられています。数年で1.5倍になっているというわけです。この傾向はおそらく今後も続き、二度目の大阪万博が開催される2025年には、両テストの日本国内での受験者数は逆転している可能性があります。因みに世界的には、年間のIELTS受験者は300万人以上、TOEFL受験者は70~80万人です。現時点では日本国内では、TOEFL > IELTSという受験者ですが、このグローバル化に伴って不等号の向きが反対になる日も近そうです。

GTECとの比較

GTECは比較的新しく生まれたテストで、GTEC Junior、 GTEC for STUDENTS、GTECの3タイプがあります。ここではJuniorについては省略させて頂きます。GTEC for STUDENTSは中高生向けで、一部の私立大学では新入学生のクラス分けテストとして活用をしているようです。GTECは、大阪・淀屋橋のとある製薬会社で従業員の英語力を測定するためのテストとして活用されているとのことです。

実施頻度 

GTECの実施頻度は年3回です。ただし、テストの種類や個人申し込みなのか、団体申し込みなのかによって、受験可能回数が変動することもあるようです。なので、GTECの受験に際しては公式ホームページに記載されている情報をしっかりと読み込む必要があります。しかし、単純に実施回数で見れば、TOEFL > GTEC でしょう。

難易度

ここではJuniorやfor STUDENTSではなく、GTECを比較対象として考えてみたいと思います。GTECも4技能を測定するテスト、読む、聞く、話す、書くをそれぞれ250点で採点する、合計1000点満点のテストです。巷間伝えられるところによれば、

GTECスコア-200 ≒ TOEICスコア

ということです。なので、GTECで710点という人がいれば、TOEICでは910点前後の得点が期待できるということです。実際に、私が英会話指導をさせて頂いている方がGTECを受験したところ、709点でした。その方はTOEICは最近は受けていないのですが、私の見立てでは実際に受験すれば860~930点ぐらいかなという感じの方です。また、その方の同僚はTOEIC930点、GTEC720点でした。なので、

GTECスコア-200 ≒ TOEICスコア

という換算式はある程度信用してもよさそうです。問題を私が見比べてみたところ、GTECとTOEFLでは、TOEFLの方が英語そのものの難しさは上と見ました。

受験者 

GTEC for STUDENTSに関して言えば、年間の延べ受験者数は102万人とのこと。TOEFL iBTのおよそ10倍と考えられます。しかし、社会人向けのGTECに関しては、データが見当たりませんでした。しかし、日本のビジネスパーソンの間では、GTECの知名度はさほど高くありません。むしろ、相当に低いと言えるでしょう。おそらく、GTECを知っている、または受験をしたことがあるビジネスパーソンは、TOEIC SW の年間受験者数である3万数千人と同じぐらいなのではないでしょうか。

他のテストとのスコア換算

上述したように、TOEFL iBTと他の英語関連のテストは、そう簡単に相互にスコア換算が出来るものではありません。TOEFLで90点以上を持っている人は、かなりの率で英検1級に合格できると私は思います。しかし、英検1級を持っているからといって、TOEFLやIELTSで良い結果を残せる率は低めでしょう。

同じく、TOEIC LRで満点近くを取れても、SWでそれぞれ180点ぐらいの点数を稼げる保証はありません。TOEFLに限らず、テストの結果やスコアは受験者の基礎体力がどれくらいついているのかを見るものです。普段から体を鍛えている人が、何らかのスポーツテストをしてみることには意義があります。

しかし、野球の投手や外野手が砲丸投げで良い記録が出ないからといって、その受験者の体力や筋力が劣っているということを必ずしも意味しません。もしもTOEFLのスコアをより客観的に見てみたいということであれば、CEFRやGSEに換算することをお勧めします。テスト結果それ自体を見るのではなく、テスト結果によると、自分には何ができるのか、またはできることが期待されているのかが分かります。スコアを追い求めるのも大切ですが、そのスコアに見合った実力を身に付けることが本質的に重要なことなのです。

各セクションの内容と特徴

ここからは各セクションの内容と特徴の概要を見ていきます。

Reading

Readingは制限時間60分でパッセージが3つ出題されます。一つのパッセージはだいたい700字前後で、出典はアメリカの大学の一般教養の教科書の一部を、ETSがテスト用に書き改めたものとされています。教科書がベースになっているということは、

・読みやすい構成である

・学術的である

・ある程度の背景知識があることが望ましい

ということが指摘できると思います。このことを踏まえて、Readingセクションの内容と特徴について学んでいきましょう。

Step 1 語彙力

さっそく読みに必要な要素の話をしていきましょう。第一に必要とされるのは語彙力です。前回の単語力と相通じるところがありますね。ここでいう語彙力とは、語彙をどれだけ知っているか + 語彙をどれだけ類推できるか、です。前回にも指摘をしましたが、リーディング・セクションでは約9問のVocabulary問題があります。ここを計算できる得点源にすることがすべてのテストテイカ―に求められます。

では、どれくらいの語彙力(知識 + 推測力)があれば良いのか?英検2級や高校課程修了レベルでは、知っておくべき単語数は4,000程度とされています。残念ながら、この水準ではTOEFLには全く歯が立たないと言っても良いでしょう。様々な資料やデータがありますが、語彙力とTOEFL iBTスコアの関係は大雑把に言うと

スコア

60点

語彙

4,000

70点

6,000

80点

8,000

90点

10,000

100点

12,000超

となるように思われます(もちろん、個人の感想です)。では、この語彙力を測定するにはどうすれば良いのか?やはり、このネット全盛時代に、テクノロジーの力を借りない手はありません。自分のお気に入りの検索エンジンで「英語 語彙 測定」や”English vocabulary test”などで検索してみましょう。今回の記事の執筆にあたって、私も実際にいくつか語彙力測定サイトを試してみました。サイトによってかなり結果に偏りが出てきましたが、2つのサイトでほぼ同じ結果が得られたので、紹介したいと思います。

一つは英語のサイトで、知っている単語にチェックをつけていくだけという非常にシンプルなものです。その後は、自分のプロフィール(年齢やどこの国生まれか、英語学習歴は何年かetc)などを入力すると結果が得られます。こちらのサイトによると英語のネイティブ・スピーカーの語彙数は25,000~35,000、英語学習者の語彙数は2,500~9,000に多く分布するそうです。

Weblio語彙力診断テスト

もう一つは日本語のサイトです。見えてしまっていますが、weblioですね。その他のサイトもいくつか試してみましたが、9,000という時もあれば22,000などという数字も出てきました。あまり信用できない感じです。

語彙数はいくら多くても決して困ることはありません。また、語彙の意味を類推する力は英語力というよりも国語力の問題と言えるでしょう。知っている語彙を増やせば、その派生語も理解・把握がしやすくなります。まずは前回お伝えした通り、3800の単語帳をしっかりマスターすることに努めましょう。それと同時に、単語力・語彙力診断を受けて、自分の到達度を客観的に掴みましょう。目標スコアに応じた語彙数獲得を一つの目安として、語彙力増強に努めて頂きたいと思います。

Step 2 速読力

速読について聞いたことがない、という人は少数派でしょう。速読力が付けば読書の効率も上がり、読書の効率が上がれば、得られる知識も増え、勉強や仕事をしていくうえでも有利になります。しかし、どれくらい速く読めば、『速読』と言えるのでしょうか。もちろん、The faster, the betterなのは間違いないのですが、理解が伴わない速読には意味がありません。TOEFL iBTのリーディングは精読こそ求められないものの、パラグラフ単位での意味把握は必須だからです。

上でTOEFL iBTのリーディングの1パッセージは約700字であると述べました。それが3つ出てくるので、合計すると約2,100文字となります。そして1パッセージあたり、だいたい13の設問があるので、設問の総数も39となります。もしも1問あたり1分をかけて解答するとなると、リーディング・セクションのテスト時間の60分から39分を引いた21分が実際に長文を読む作業に充てられる、という計算になります。21分で2,100文字なので、単純計算で100文字/分で読むことが必要です。

この速読力をWPMと呼ぶことがあります。Words Per Minuteの頭文字をそれぞれ取ったもので、一分あたり何語を読めるのかを表す指標として知られています。WPMについてはこちらの記事でも触れられていました。ちなみに日本の高校3年生のWPMについては諸説があり、60~90ぐらいと見積もられることが多いようです。これが何を意味するか。平均的なリーディング能力では、TOEFLには歯が立たない、ということです。

WPM読書結果

私もあるサイトでWPMを測定してみました。妥当な結果であると受け止めています。もしも貴方が80点を目指すのであれば140WPM、100点を目指すのであれば170WPM、100点超を目指すのあれば180WPMを一つの目安として考えてみてください。

読むという営為には、語彙、文法に加えて、背景知識も重要です。医学の知識なく医学部の講義を聴いても、たいていの人はちんぷんかんぷんでしょう。外国語の場合でも同じです。このあたりの背景知識については過去記事で紹介しておりますので、あらためて参照ください。

Step 3 要約力

TOEFLは日本の大学入試問題などに比べてかなり難易度が高く設定されています。しかし、ひとつ特段の配慮が為されている部分があります。それはパッセージのタイトルが明示されている、という部分です。タイトルは、ある意味ではその文章全体の究極の要約です。そして、これが有るか無いかで文章の読みやすさが大きく変わります。試しに今日の新聞を見てみましょう。一面の記事を、“見出しを一切目にすることなく”読んでみてください。またはネットのポータルサイトのニュース記事でも良いでしょう。見出しやヘッドライン、タイトルがいかに文章全体の内容理解に(無意識のうちに)役立っているかを実感できることでしょう。

逆に言えば、TOEFLのリーディングは大学入試の長文とは異なり、必ずタイトルが付されているということには、重要な意味や配慮があるからということになります。パッセージを読むときには、必ずタイトルを念頭に置きながら読むようにしてください。そしてタイトルと同じ語、もしくは類義語、類似表現が用いられている文章に注目する癖をつけてください。ETSの公式テキストを使っている人は、ページをコピーして、該当箇所にアンダーラインを引いたり、マーカーで色を付けても良いでしょう。そして、それらのセンテンスがどのようにサマリー問題に関わってきているかを分析してみてください。驚くほどの関連性があることが分かるでしょう。サマリー問題への実践的アプローチについては、講座で触れていますので、興味がある方はぜひ来校してみてください。

以上、リーディングの攻略に必要な要素について、具体的な数字を織り交ぜながらお話をさせて頂きました。大前提として言わなければならないことは、TOEFLは難しいテストだ、ということです。しかし明確な攻略方法が存在するテストです。たとえて言えばダルビッシュ有のようなピッチャーと言えるでしょうか。球速も高く、変化球も多彩で、超スローボールを投げてくることもあります。しかし、もしも彼が『初球は必ずSFF、二球目は必ずスライダー、キャッチャーのサインに首を振った後は必ずストレートを投げる』というようなデータが出揃っていればどうでしょうか?打者としては、それぞれのボールを確実に打ち返すためにバットを振るのみです。そのバットを振るというのが、語彙力や速読力の増強に相当すると思ってください。練習を苦にしないという方は、私達と一緒に対策をしましょう。

Listening

リスニング問題は二つに大別されます。

1.大学の講義タイプ
2.大学キャンパス内のもの

この中で1.大学の講義タイプはさらに

・教授が延々と一人で話すレクチャータイプ
・適宜に学生を指名したり、学生からの質問に答えたりするディスカッションタイプ

に分けられます。また後者は

・大学生と教授が話すもの
・大学生と大学職員(図書館や食堂の職員)が話すもの
・大学生同士が話すもの

に分けられます。

リスニング・セクションの特徴は、メモを取ることが許されているということでしょう。メモを取ってよいということは、メモを取るべき箇所、つまり設問につながりそうな重要な箇所が明示されるということです。それらはサインポストと呼ばれています。

サインポスト

これが現実世界の典型的なサインポストです。TOEFLのリスニングにおけるサインポストというのは、「これが聞こえたらメモする」または「これが聞こえたら短期記憶に刻み付ける」という情報が来ることを示唆するもののことです。それらが何であるのかについては、講座または個別ガイダンスにお越し頂ければと思います。

リスニングは全部で6問あり、Task 1とTask 2は独立問題、Task3, Task 4, Task 5, Task 6は統合問題となっています。

Task 1 = 個人の嗜好や経験に基づいてスピーチする 
準備時間15秒 回答時間45秒

Task 2 = ある事柄に賛成/反対することをスピーチする 
準備時間15秒 回答時間45秒

Task 3 = 大学からのお知らせを読んで、学生同士の会話を聴いて、解答をスピーチする 
準備時間30秒 解答時間60秒

Task 4 = academic passageを読んで、教授のlectureを聴いて、解答をスピーチする 
準備時間30秒 解答時間60秒

Task 5 = キャンパス内での学生と大学関連の人物(学生、職員、教授など)の会話を聞き、問題を特定し、問題解決方法を選び、それについて語る 
準備時間20秒 解答時間60秒

Task 6 = 教授のlectureを聴いて、解答をスピーチする 
準備時間20秒 解答時間60秒

以上がリスニングセクションの設問の概要です。

TOEFL iBTリスニングのもう1つの大きな特徴は、非常に臨場感のある、迫真性のある講義や会話が聞こえてくるということでしょう。臨場感や迫真性とは何でしょうか?それは、声に強弱があったり、豊かな抑揚があったり、時に詰まったり、時に超絶早口になったりすることです。この記事を読んでいる方は、色々なリスニング教材を試されてきたことと思います。例えば、リスニングをしていて、話者がいきなり、Oh、Hmm、Well、Nowなどの特別な意味を持たない間投詞を使うのを聞いたことがあるでしょうか。それ以外にも、声が非常に抑揚に富み、感情が込められているように聞こえたことがあるでしょうか。もしそうした経験があるという方は、PodcastやTED Talk、その他YouTubeなどのメディアを有効活用している方でしょう。TOEFLのリスニングは、ニュース記事の朗読のように無味乾燥なものではなく、非常に生き生きとした会話、対話、レクチャーなのです。この音声のリアルさが大きな特徴です。

Speaking

最大の特徴は、スピーキングであるにもかかわらず、目の前にいる誰かに話すわけではない、ということでしょう。ICTやAI関連のテクノロジーが進歩することにより今後どうなるかは分かりませんが、基本的には設問への回答はすべてテストテイカーの独白という形式になります。それが録音され、インターネットを介して採点者に届けられ、スコアを付されるのです。これは英語(に限らず語学関連)の資格検定としては非常に珍しいものです。英検にしろ、IELTSにしろ、スピーキングは対面形式で採点官によって採点されるというのがこれまでの常識でした。しかし、2018年8月に英検CBTが実施され始め、PROGRESSやVersantといった、自動音声認識システムを用いたテストも増えてきました。TOEFL iBTはこの分野における Front-runner であると言えるでしょう。

他に注目すべき特徴として、発音は採点の重要な部分を占めないということも指摘できるでしょう。美しい発音は求められません。アクセントが多少違っていたり、発音が多少間違っていても、それが何であるかが通じれば減点されることは、まずないでしょう。例えば indict という語を インディクト と発音してしまっても、正しい文脈の中でその語が使われていれば、聞き手はそれを「間違っている」と認識した上で「意味は通じる」と捉えるでしょう。これが上述したDeliveryということです。間違えないことが評価されるのではなく、多少の間違いがあったとしても、意味がしっかりと伝わることが重視されるというのが、TOEFL iBTのスピーキングにおける特徴です。もしもTOEFL対策のスクールが必要以上に美しい発音を指導しようとしてきたら、そのスクールはちょっと避けた方が良いかもしれません。

Speakingは6問から成ります。Task 1およびTask 2は Independent Task と呼ばれています。これらの設問では、自分の知識や経験、嗜好に基づいて答えを発話することが求められます。また、Task 3およびTask 4は、一定のマテリアルを読んで、その後に会話や講義を聞いて、答えを話す、というIntegrated Taskです。Task 5およびTask 6は、会話や講義を聞いてから話す、という統合問題です。いずれも非対面形式で話すもので、TOEFLのスピーキングセクションは、一人演説コンテストと言ってもいいかもしれません。これが非常にユニークな点です。

Writing

設問は2問だけです。Task 1が統合問題で、読んで、聞いて、答えを書くというものです。Task 2は独立問題で、与えられたお題に対して、自分の知識、経験、思考および嗜好に基づいて、答えを書くというものです。Task 1は一定以上の英語力がある人なら、誰が取り組んでも、だいたい同じような答えになるでしょう。しかし、Task 2は人によって、答えがバラバラになるタイプの問題です。近年では Do you agree or disagree with the following statement? という系統の問題が課される傾向が高いようですが、依然として Speaking Task 1 のようなテストテイカーの知識や経験、好みに基づいて答えを構築する問題や、仮定の設問(あなたの町に新しいレストランが出来るとするなら・・・)に対してのレスポンスを求める問題など、各人各様、十人十色の回答が出来上がるであろう、非常にオープンな問題も出題され続けています。この回答の自由度が大きな特徴です。

英検やIELTSと異なり、パソコンのキーボードで文字を入力していくところも特徴です。これをアドバンテージだと受け取る人もいる一方で、往々にして4時間を要する長丁場のテストの最後の最後に最低で300字を書くのが望ましいとされるテストは苦痛以外の何物でもないと言う人もいます。そこにたどり着いた時点で、パソコン画面を見過ぎていて、極度の眼精疲労に陥っているからだということです。このあたりはブルーライトカットグラスを装用したり、会場によっては目薬持ち込み可能なところもあったりしますので、各人なりに対応策を準備しておく必要があります。

また、ライティングなので、スピーキングとは異なるレジスター(言語使用域)を用いることが期待されています。平たく言えば、よりフォーマルな語彙や表現を用いることが求められているということです。I think this movie is great.は話し言葉で、In my opinion, this film is a masterpiece. が書き言葉という感じです。このあたりのさじ加減は trial and error と適切なフィードバックを受けることで学んでいくしかありません。独学で行き詰まりを感じたら、どこかのスクールに相談してみましょう。

この記事の筆者

金子 燦之Akiyuki Kaneko

[TOEFL iBT 104点, TOEIC 935点, 英検1級] 国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。専攻は宗教学・東洋思想史。大学では4年間をキャンパス内にある寮で暮らし、多くの外国人留学生や帰国子女と交流した。東京の信販会社で海外業務を担当し、海外の関連会社との交渉・折衝・調整などの業務に従事。趣味は音楽鑑賞と映画鑑賞で、ロッド・スチュワートの歌なら全曲歌うことが可能。最近ではTaylor Swiftも好んで聴く。英語の映画の長セリフや英語の歌詞をListeningだけで全て暗記できるという特技を持つ。 カジュアルな表現だけではなくビジネス・アカデミック英語にも通じており、入門から中級レベル、TOEFL iBT講座まで幅広く担当している。

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